団地という響きに・・・
団地と聞くと、AV的な響きを感じてしまいますが、本作品は全くそっち系の作品ではなく、団地のあるあるが詰まったコメディ映画。
交通事故で一人息子を失い、漢方のお店をたたんでしまった夫婦が主役。旦那は息子を亡くして以来、ひきこもり状態。妻は家計を支えるべくパートをはじめ・・・。とここまで来ると可哀想に思えてくる夫婦ですが、しめっぽい感じは一切ない。とにかく関西ならではの鋭い突っ込みが、その状況をよーく的確にはまっていて、かえって勉強にもなりました。
冒頭から飛ばす斎藤工
漢方の常連客、斎藤工が夫婦宅を訪れた最、奥さんに向かって言い放った「五分刈りです」というセリフ。奥さんが「ご無沙汰です」と言い直すことで、このボケが成立するのですが、この後も、「効果てきめん」を、「効果きしめん」と言ってみたり、おじゃましましたとかしこまりましたと言ってみたり。大まじめな顔で言い放つ斎藤工に、淡々と言い間違いを訂正する奥さんの頭の回転の早さ、ただただ圧倒されっpなしでした。
昭和の拡散力
今でこそSNSで、一気に日本全国へと拡散していきますが、ネットのない時代は住まいの半径5km位までしか拡散しなかったのでしょう。
とは言うものの、団地ともなると拡散性はないものの、内容に尾ひれがついて、とんでもない話に育ってしまうのですから、噂されている人間にしてはたまったものではありません。
で、その餌食になったのが、この夫婦。何と奥さんが旦那を殺したとの噂が。
最初は旦那さんを見かけないという話から、色々な憶測がついて本当の話として広がっていく。ネットニュースのフェイクニユースが本当のニュースのごとく扱われ社会問題となっているそれと、あまり差のないことが団地では起きやすいんだなと。
しまいにテレビが取材にくるわで、大騒然。
ただこれを被害者として訴えるのではなく、その噂にのっかて、団地の人達を驚かせてやろうという発想が凄い。
まるでフェイクニュースを楽しんでいるかのように見えます。
鶴の恩返し
ボケ役で登場していたと思った斎藤工でしたが、終盤にかけて、それがボケではなくマジで言っていたことが発覚。
日本語が難しいという伏線はあったものの、まさかそうゆうこと?というのが正直な驚き。
団地に暮らす夫婦を描いたハートウォーミングな映画と思いきやまさかの展開。
斎藤工一族が生きながらえているのも漢方のおかげということで、この夫婦に最高のプレゼントを差し上げることとなります。
まるでつるの恩がえしのごとく・・・
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