作品として泣ける「悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46 」

乃木坂日本映画

AKB公式ライバルだったとは

今では押しも押されぬ存在の乃木坂46。アイドルに疎い層でもその名前は知っているはず。

AKBが勢いを失った今、女性アイドルグループではてっぺんといった印象です。

デビューは今から約10年前位。当時はAKB全盛の時代で、彼女たちのグループのキャッチフレーズが「AKB48公式ライバル」。

彼女たちにとっては吐き気がする位のプレッシャーだったでしょう。野球に例えれば中学生野球が日本一のソフトバンクを倒しますと言っているようなもの。

あまりにも浮世離れした言動に誰も耳を貸さないでしょう。

が、10年後の今、それが現実のものになっているのですから、鳥肌ものです。

残酷な合否発表。とてつもない緊張感

作品はオーディション様子も含まれています。あまりの緊張でうつむいている子もいれば、笑顔の子もいたりと様々。その表情のリアルさにノンフィクション作品であることを実感しました。

で、合格者発表の当日、番号を呼ばれステージに並ぶ子達と残念ながら不合格となりステージ上がることができなかった子達。

10代にして、こんな厳しい現実をつけつけられるとは、アイドルを目指す子が病んでしまうのもわかる気がしました。

就職試験では数社から不採用を受け現実逃避していた昔の自分を思い出しました。

入ったら入ったで苦悩の連続

晴れてアイドルの第一歩を踏み出すこととなった乃木坂メンバーですが、ほっと一息つく暇などはなく、また厳しい競争にさらされます。

選抜メンバーとそれ以外。選抜に選ばれるとステージの前方に配置されたり、メディアの露出が増えたり。

Jリーグで言えば、1部と2部みたいなもんんでしょう。2部に降格すれば収入も激減し、クラブ運営がままならない。

それを1人の女の子が全てを背負う。これまでセンターの子の横で踊っていた子がまさかの降格で、死んだ魚の目でぽつねんと1人落ち込んでいる姿には胸が痛みました。

選抜から落ちて情緒不安定となってグループをやめると泣き叫ぶ子を説得する子のシーンなどはこっちももらい泣きするほど。

まさかのAKB兼任&スキャンダル

念願の初ステージはAKB48のコンサート。会場はAKBファン一色。ほぼアウェイでしかも当時は無名の存在。

歌が終わり、最後のmcでメンバーの子が声をつまらせながら応援をお願いする姿はジーンときました。これまたもらい泣きしました。

と、ここまでは良かったのですが、グループの中心メンバーがAKBを兼任したり、スキャンダルを起こしたりとメンバー間に亀裂が走るような事件が連発。

AKB公式ライバルと言っておきながら、相手方のメンバーに入るとは何事とメンバーの殆どが反対でした。

が、彼女の言い分としては、グループの名を売るために取った行動という所に、大人だなと感じました。

フィーゴがバルサからレアルに移籍したのとは全く意味が異なるものだと。

ママ役のナレーションで感情移入

本作品、グループの軌跡を追った作品というよりも一人ひとりのこれまでの成長に迫った作品で、進行役はママという設定。

小さい頃にいじめに合ったとか、とにかく地元を出たい、自分を変えたい、子供に良い経験をさせたいなどメンバーそれぞれにドラマが。

これが全てママ役のナレーションが語るので、グッと距離感が縮ませてくれます。

乃木坂ファンではなくとも泣ける作品です。ぜひ。

タイトルとURLをコピーしました