勇者揃いの第一次十字軍遠征

十字軍書籍レビュー

元々は法王の復権が目的

高校の世界史で学んだ位の情報しかない十字軍。中世ヨーロッパの歴史の中であまり触れられていないというのが僕の印象。

が、中世ヨーロッパの歴史を読むと、必ずと言っていいほど十字軍というのが出てくるですね。

その成り立ちや活動内容などをより深くしりたいということもあり、十字軍物語を読み始めした。

で、そもそもの成り立ちが時の法王による呼びかけ。聖地イェルサレムを開放しようではないかということで、各所に点在する諸侯たちが賛同して、この遠征が始まりました。

当時は神聖ローマ帝国の王様と権力争いしている最中。というよりも劣勢に立たされていたと言ってもいいでしょう。

その状況を打破すべく始まったのです。

烏合の衆の集まりで本当に大丈夫?

当時は都市国家で、日本で言えば戦国時代。群雄割拠の時代なのでまとめ役がいない状態。

諸侯クラスであれば、金にもの言わせて人集めはできますが、お金がないとそうもいかない。

中には一般ピープルだけを集めた雑草軍団まで、この遠征にいたというのですから、収拾がつかなかったことが容易に想像できます。

危険なイェルサレムまでの道のり

で、遠く離れたイェルサレムを目指すわけですが、東ローマ帝国領までは順調に移動できたものの、問題は小アジアを支配するセルジュークトルコ人。

東ローマ帝国の彼らに領土を削られっぱなしで全く歯が立たない状態。

が、そこは鉄製の防具に身を固めた十字軍。彼らが繰り出す矢のあめあられを振り払い、見事撃破に成功。

こうして難なく小アジアを突破してくのです。

一方のセルジュークトルコ人は、この戦でヨーロッパ人と正面切って戦うのは無理と早々に悟り、ゲリラ戦へとその戦い方を変え、以後、ヨーロッパ人を苦しめることに成功するのですが・・・

昔も変わらない争い続きのアラブ人

セルジュークトルコ人との戦いを制し、次々の都市を占領する十字軍。占領した都市を捨てて、イェルサレムを目指すのではなく、占領統治を進め、周辺都市に次々と十字軍国家を樹立。

今後の危険の芽を摘む戦法は非常にクレバーな感じがします。

次なる敵は、アラブ人。イェルサレムを支配している人たちもこの方々。

遠い場所から、ヨーロッパ人が攻め寄せてきたという危機感があるものの、都市間の仲が悪くなかなかまとまりがつかない。

てなわけで、これまた十字軍有利に戦いが進み、イェルサレムを彼らに奪われることとなったのです。

第一次十字軍は英雄揃いでしたが・・・

イェルサレム開放に成功した第一次十字軍ですが、これた占領行政を進めていかなければならない。

開放したら、はいさよならとは行かないわけですね。

こうして欧州から遠く離れた地に、飛び地という形で国家が樹立されてきたわけです。

数は圧倒的に劣る十字軍ですが、第一次十字軍は英雄揃い。少数ながらアラブ人との戦いに勝っていく様は、まるで映画のような話。

特に気に入っているのがタンクレディという騎士。この方、戦術に長けていたのか、この人が十字軍に残した功績は計り知れないと思います。

こうして第一次十字軍は無事、当初ミッションを完遂したわけです。

このあとの遠征はうまくいったのか今から楽しみです。

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