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映画批評

世界最大の英語辞典、オークスフォード英語辞典誕生までにこんな苦労があったとは。「博士と狂人」

辞書編纂作業は途方もなく大変な作業。それをこの人数で?

辞書編纂に関する作品はこれまでも見てきたことはあるけれど、編集者の数が圧倒的に少ない。しかも世界最大と呼ばれるオックスフォード英語辞典の制作だって言うのに・・・。

博士と狂人

この誰もが避けたがる大仕事を請け負ったのがメル・ギブソン演じるマレー博士。この仕事に携わるのは自分の使命とばかりに、子供もいるのに今の暮らしを捨ててまで、この一大事業の責任者として手を挙げます。

博士と狂人

これまでも辞書編纂作業は行われていましたが、長続きすることなく毎回頓挫する始末。大学側も中の人では限界に思ったのか、全くの外部のマレー博士に、辞書編纂を任せることとします。

最初は数年で完成と豪語していたマレー博士でしたが、完成したのが70年後というのですから、想像もつかないほどの作業内量だったのでしょう。

まさかの助っ人現わる。マイナー博士

韓国の辞典編纂作品でも同じように、編集者だけでは限界があるため、市民も巻き込んで言葉集めを進めていきます。

内容は、その言葉が使われている文言を数多の本の中から抽出して送ってくださいというもの。

言葉にも歴史があって、時代に合わせて変容していくもの。その意味の変遷を辞書に盛り込むことで、初めて辞書として成立するでしょうと。

ある単語では17-18世紀の引用文がごっそりない。その前後はあるのにどうしようといった類の壁に何度もぶつかってしまいます。

その壁もぶち破ってくれたのが精神病棟にほぼ監禁状態のマイナー博士だったのです。

博士と狂人

殺人を犯して出口の見えない日々

精神障害を抱えるマイナー博士は、幻覚症状を起こして、ある男性を殺してしまいます。精神的問題を抱えていたということで無罪とはなりましたが、精神的なダメージは相当なもの。

我に帰った時に、自分の犯した罪の深さに反省する日々を送ります。加えて精神障害の病院に強制入院させられ、生きる意味さえ感じないつらい日々を送ります。

そのような時に生きる意味を与えてくれたのが辞書編纂。世界最大の辞書編纂に参加している喜びは彼に再び生きる勇気を与えてくれます。

彼の膨大な引用分資料は、スタック中の辞書編纂チームを大きく前進させるものとなったのです。

博士と狂人

若かりし頃のチャーチル登場にビックリ

こうして辞書編纂も順調に進むかと思いきや、マイナー博士はある事件をきっかけにさらに精神障害を悪化させ、辞書編纂のお手伝いはおしまい。命さえ脅かされるほどの廃人と化してしまったのです。

そんな彼を助けるべく動いたのがマレー博士でした。一生を牢獄のよう精神病院に閉じ込めておくのはよくないと国に働きかけます。

しかもチャーチルに直談判。

彼の切実な御願いがチャーチルの心を揺さぶったのか、マイナー博士は無事、精神行頭から抜け出すことができたのです。数多くの作品でチャーチルを見てきましたが、気が強くて猪突猛進型の人にもみえましたが、こんな思慮深い一面があるのかと驚きました。

目を見張る大英帝国の文明水準

本作品の時代は1900年のちょっと前。日本で言えば明治時代の頃でしょうか。

なのに、イギリスの文明はといえば、立派なコンクリートの建物、今と変わらない内装。ベットに窓ガラスもある。

校正刷りのくだりがあるように、印刷技術も発達し、ハードカバーの本も数多く見られました。

博士と狂人

そんな文明の高さも本作の見所と言ってもいいでしょう。

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ハリウッド

最後までプロに徹しきれなかった二人。映画「ジョン・デロリアン」

FBIとの悪魔の契約が事の始まり

時は1977年。大統領はカーターだった気がします。当時のアメリカは麻薬取引が盛んで元締めの尻尾を捕まえるべく、FBIもあの手この手で捜査の網を広げていました。

そこで編み出したのがおとり捜査。飛行機で遠く中南米でコカインをピックアップし、元締めに納品する運び屋さんことジムが、ひょんなことからFBIの手先として働くこととなったわけです。

ジョンデロリアン 映画

高級住宅街は何かとメリットが多いかも

彼の仕事はと言えば、麻薬の元締めのボスからのオーダーをFBIに横流しして、取引の現場を抑えさせるというもの。

元締めからはFBIの手先だろうと疑われるし、FBIから元締めに対して積極的に麻薬取引をしろと勧めらるし、ほぼほぼ板挟み状態。とんでもない世界に足を突っ込んでしまったと思ったことでしょう。

が、これまでの運びの罪をチャラにしてくれるという条件付きだから、無下に断ることもできない。さらにFBIから高級住宅をあてがわれているのですから。

しかもご近所さんにはセレブばかり。そして、あの男と運命の出会いを果たすことになるのです。

ジョンデロリアン 映画

出たー。これが噂のデロリアン

その男こそ、バックトゥザフューチャーで一躍有名となった伝説のスポーツカー。デロリアン。開発者本人の名前だったことをこの作品で初めて知りました。

元々GM出身の彼は、GTOという名車を世に送り出すほどの敏腕カーデザイナー。それが地位も名誉も投げ捨て、GMから飛び出し、自分でカーメーカーを立ち上げることを決意します。

多くの著名人を集めたパーティで、デロリアンの模型を披露するなど、プレゼンテーション能力もばっちり。しっかりと潜在顧客に対するアピールをするなど抜け目ない。

といった感じで幸先良いスタートを切ったわけですが、いざクルマが出来上がると不具合の連発。納車直後にエンジンがかからないなどの事故が発生し、大きく信用を失墜。

デザイナとしては優れた能力は持っていましたが、経営者にとしてはちょっと力が及ばなかったのでしょう。

破天荒すぎるよ。デロリアン

デロリアンは全く売れずじまいで在庫は積み上がる一方。資金も枯渇してきて返済期日までにお金が用意できない危機に見舞われます。

で、デロリアンが取った窮余の策が、麻薬密売。どこで仕入れたのか知りませんが、ジムが麻薬の運び屋ということを知り、元締めから麻薬を譲ってもらえるよう打診します。

資金繰りに犯罪にまで手を染めてしまったデロリアン。何度もジムが今なら引き返せると忠告しても聞く耳を持たない。

こうして、ジムは親友を裏切る形でFBIにこの情報をリーク。ホテルで行われた麻薬取引の現場に待機していたFBIの職員にデロリアンは捕まってしまいます。

お互いに爪が甘かったってこと。ジムは今どこで何している?

栄光から一気に地獄に突き落とされたデロリアンですが、裁判で常に無罪を主張。で、ジムが参考証人として出廷します。

焦点は、デロリアンから麻薬取引をしたいから助けてという依頼があったかどうか。

おとり捜査で麻薬元締めやデロリアンをFBIに引き渡したという後ろめたさが働いたのか、彼は明言はなかったと答え、ここに晴れてデロリアンの無実が確定しました。

大きな獲物を取り逃したFBI。ジムに対して厳しい措置をするかと思いきや、保護証人という形でFBIの庇護の元、余生を送ることとなりました。今も消息は不明だとか

一方のデロリアンは、その後もいくつかの訴訟騒ぎに見舞われ、そのほとんどが敗訴だったとか。

とにもかくにもデロリアンの破天荒っぷりだけがやけに印象に残った作品でした。

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ハリウッド

数々の困難があってもへこたれない、夢を叶える強いハートに脱帽。ライド・ライク・ア・ガール

親心を知らずに家を飛び出す

小さい時にジョッキーだった母を亡くし、10人兄弟の末っ子に生まれた彼女。しかもお家は競走馬を持つ厩舎を運営しており、小さい頃から馬がある生活が当たり前という環境。

お兄ちゃん、お姉ちゃんもジョッキーとして地方の競馬に参加して、数々のタイトルを手にするなど、ジョッキーの世界では名門の家系でした。

ライドライクアガール

そんな環境に生まれたこともあってか、主人公ミシェルも将来の夢はジョッキー。しかも世界最高峰のレース、メルボルンカップで優勝をすること。

小さい頃の夢なんて、年齢を重ねていくにつれ、しぼんでいくものの、彼女の場合は、どんどんと膨らむ一方。この強い信念こそが彼女の持ち味とも言えます。

とは言え、数々の衝突を繰り返することになるのですが、まずは父親との衝突。ジョッキーとして地方のレースで優勝するなど順調に実績を重ねてきた彼女。が、父の元ではレースの出場が月1回程度。これではジョッキーとして成長が望めない。

ライドライクアガール

てなわけで、父の静止を振り切り、大手競馬場の調教師との職を求め、家を飛び出します。

どの世界にもあるんだな。女性蔑視の現実

何とか大手競馬場の調教師の職にありつけ、見習いジョッキーも兼任しながら、レースへの出場を目指しました。

馬主に自分を売り込むも、馬主からセクハラまがいの仕打ちを受けるなど、女性ジョッキーがいかに軽んじられているのかを目の当たりにします。

が、そんな事でへこたれるような彼女ではなく、ならば実際に乗っている所を見せつけてやろうと許可が降りていないにもかかわらず、テストジョッキーとしてコースを試走。これを見ていた馬主の目に止まり、ジョッキーの道を自らこじ開けることに成功したのです。

G1を走るために過酷な減量を受け入れた結果・・・

その後、トントン拍子で、地方レースに参戦する日々が続き、あるレース終わりに、G1レースでの騎乗を打診されます。念願のG1レースで騎乗できることは、彼女の夢がかなり前進することを意味します。

1週間で3kg減量という過酷な条件を提示しながらも、彼女はすんなりと受け入れ、レース当日に何とか条件をクリアします。力石徹でもここまでは過酷な減量はしなかったのではというレベルでしたが・・・

頭蓋骨骨折でも夢を叶えるために復活

過酷な減量でフラフラ状態。目もかすみまともな状態でないのは明らか。これが大きな災難に見舞われる原因だったのでしょう。そのレースでは見事1着でゴールインするものの、直後に落馬して頭蓋骨骨折という選手生命が絶たれるような大事故に見舞われます。

自分の名前すら、言葉にできず文字を書くことさえままならない。ジョッキー生活もこれでおしまいかと思いきや、これもメルボルンカップ優勝という強い信念があったからでしょう。

見事復活を果たし、しかも最強の相棒馬と出会い、復活後はこの馬を駆って数々のレースで優勝をかさらっていきます。

そして、いよいよメルボルンカップ出場を手にすることができたのです。

前例がない。だから何?レースに勝ちたいという強い信念が大事なのよん

念願のメルボルンカップ出場を目の前にして、意気上がるミシェル。が、馬主達の集まる集会では彼女に騎乗させることに後ろ向き。伝統あるメルボルンカップで女性ジョッキーで優勝した人はいない、タフなレースなのに女性が太刀打ちできるのかなど否定的な声ばかり。

煮え切らない馬主達の話し合いの中に、半ば乱入状態で駆け込んだ彼女は、理屈でなく、自分自身の意気込み、勝ちたいという強い想いをアピール。

これが彼らの心動かすこととなり、彼女に託すことが決められたのです。

結果はわかっていながらも、あまりの頭数の多いレース。序盤は後方待機を決め込み、直線勝負というのはわかるものの、前方はほぼ馬群でふさがった状態。これで本当に勝てるのかというハラハラドキドキの連続。

最後まで楽しませてくれる映画でした。

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アジア映画

ママのぶっ壊れぶり凄まじい「幼い依頼人」

韓国でも幼児虐待が社会問題に

日本だけのお話かと思いきやお隣韓国でも社会問題となっている幼児虐待。年々増加傾向にあり、加害者の大半は親。

そんな社会問題を題材にした本作品。実話に基づいたストーリーということを観賞後に胸が痛みました。

優しかったのは最初だけ。スイッチは髪留め

小さい頃にママと死別してしまった兄妹。お姉ちゃんはうすっらと記憶はあるものの弟は全く記憶なし。

ママの写真も全て顔部分がだけが切り取られ、弟はどんな顔をしていたかさえ全くわからない。ので、お姉ちゃんの記憶を頼りにママを似顔絵を描く弟が不憫でなりませんでした。

そんなママロスの二人の前に現れたのが再婚相手の女性。

すぐに同居することとなり、二人とも大喜び。一緒にお風呂に入ったり、温かい食事を作ってもらったり。

が、こんな幸せな時間も一瞬だけ。ある食事の日に箸が上手に使えず食べ物を落としてばかりの弟に、ママ母の様子が急変。

それまでの笑顔が全く消え、手首に止めた髪留めを手に髪を結ぶやいなや、鉄拳制裁のあめあられ。

こうして二人は、ママ母と地獄の暮らしが始まったのでした。

なすすべなし。福祉相談員

日本でもそうですが、事件が起きてからでないとなかなか動き出せないというのは韓国でも一緒。

明らかに幼児虐待をしているのに、注意することしかできない。

女の子がSOSを求めても、相談員が自宅を訪問して注意するだけで見て見ぬ振り状態。

女の子は半ば諦めた様子でしたが、ある福祉相談員を弟がいたく気に入り、再び福祉相談所に二人して足を運び、お目当ての相談員に会いに行きます。

この相談員、そもそも弁護士を目指していたものの、どこからもオファーを来ず、一時的に福祉相談所に就職。

ので、そもそも子供が好きでもなく、むしろ面倒なことに足を突っ込みたくないといった感じ。

ところがある事件をきっかけにこの兄妹をママ母から守るという大役を率先して行うようになるのです。

これ本当に居たらヤバいでしょ。ママ母

ある事件とは、ママ母からの激しい暴行で弟が命を落としてしまいます。

しかも、その罪を女の子になすりつけ、10歳の女の子、未就学の男子をフルボッコにしたと証言。

とは言え、嘘であることは明白。周りも実際の犯人は母親では疑い始めます。

この状況を見て、子供に母向けの嘆願書を書かせます。犯人は私で仮にママが逮捕されも、一緒に暮らしたいので刑期を短くしてねと。

さらに裁判の席で、お涙状態の演技をぶちかまし、自分のママとしてしつけなっていたら、娘もこのような事件を起こさなかったと。これも全て私の不徳のいたすところだと・・・。

まぁ、とにかくこのママ母だけのぶっ壊れぶりがやけに印象に残りました。

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ハリウッド

恐怖の鬼ごっこにハラハラ「ホテルムンバイ」

楽しいバカンスが一転。恐怖のどん底に

長期休暇を取って海外旅行。存分に仕事を忘れて楽しむぞと思ったのに、とんだ災難に遭ってしまった実話に基づくお話。

インドのムンバイで高級ホテルが数名のテロリストに襲われるというもの。

既に駅ターミナルなどで無差別テロで数百名の死者が出てムンバイ市中は騒然。急ぎホテルに戻ろうとする旅行客でしたが、ホテル側も安全対策のため入口を封鎖。

とは言え、増える一方の避難者を見捨てるのも申し訳ないと思ったのか、入口を開けることにしたのですが、これが悪夢の始まりだっとは誰も予想しなかったでしょう。

数名のテロリストなのになすすべなし

この避難者と一緒にホテルに侵入したテロリスト。入るや否やロビーに集まる人々に向かって発泡。

逃げ惑う人や銃に撃たれてその場を命を落とす人などまるで地獄絵図。

テロリストは数名なものの、連射機能付きのライフル銃なだけに皆防戦一方。彼らに立ち向かうのはほぼ無謀といった感じ。

ロビーを制圧したテロリストの次なる標的は、宿泊客を一人ひとり殺していくという恐ろしい計画。

彼らを操るボスは、貧困になったのは欧米の富裕層のせいだ。ので、一人ひとり殺せば、貧困から脱することができると。

まだ20歳にも満たない少年の面影ありありのテロリスト。こうして洗脳されて命を惜しまずテロ行為に手を染めてしまうのだなと感じました。

料理長の男気に感動

テロリストに占拠されたタージマハル・ホテル。この危難に際し、料理長が立ち上がります。

ロビーに近いレストランから、従業員しか知らない秘密の小部屋にレストランの利用客を移動させるというもの。

その数50名以上。テロリストに見つかれば全員死を覚悟しなければならない。

ただし、レストランに留まっていてもいつかはテロリストに見つかってしまう恐れもある。

ということで、この危険な計画を実行に移し、見事、秘密の小部屋まで移動にすることに成功します。

これで救助隊が来るまで待機していれば安全と思っていましたが、テロリストにあっさりと見つかってしまい万事休す。

何とか侵入を妨げることはできたものの、再び仲間を連れてドアをこじ開ける来る恐れもある。

留まるか、動くか。生死を分けた選択

移動するよりも小部屋に留まることが安全と料理長は主張するものの、一部のお客はこの部屋から出て自力で逃げると主張。

お客に強く主張されてしまっては料理長もNOとは言えず、小部屋の重いドアを開けることに。

が、しばらくするとけたたましい銃声が鳴り響き、料理長の無念という表情がやけに印象的でした。

待ってました。特殊部隊やっと到着

テロリストのやり放題がやたらと目につきましたが、救助隊も少数ながらも頑張ってはいました。

地元警察数名。手には拳銃。ライフルと対峙するにはあまりにも心もとない。結果は散々でなすすべなし。

ムンバイには特殊部隊がいなかったこともあり、沈静化するまでに約12時間。

やっとデリーから特殊部隊が到着し、瞬殺でテロリストは一掃されましたが、もう少し早く到着していれば事態はここまでひどくはならなかったでしょう。

この事件、2008年に起きましたが、タージマハル・ホテルは翌年に復活し通常営業を開始しているとか。

死者の多くがホテル従業員だったということで、その勇気に多くの称賛の声があがっているそうです。素晴らしい。

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憎めないパパ。「ガラスの城」

家族6人で車上暮らしの日々

入院中の小さな子供をお見舞いに来た家族。病院食なのに大満足の娘とそのメニューを聞いて羨ましがる兄妹。

病院の先生に暴言を吐く父親。病院スタッフの制止を振り切り入院中の娘を連れ去り、病院を後にする家族。

このやりとりで訳あり家族なんだなとピンと来ました。かなりヤバい家族なんだと。

ルーフに家財道具を積み、車上生活する毎日。子供が「学校に行きたい」と言っても全く聞く耳を持たない親。本当に不憫でなりませんでした。

ガラスの城

学校よりも、こうして車上生活する方が学ぶべきことが多いと、今の暮らしを肯定する父親に子供たちは渋々納得するのですが・・・。

人里離れた山奥での暮らし

車上暮らしに疲れたのか、家を借り普通の暮らしに戻りますが、父親の借金取り立てが押しかけるものだから、これまた夜逃げの連続。

父親の「夢の国に行くぞ」という掛け声と共に叩き起こされる子供たち。またかという感じで子供たちも従いますが、疲弊しているのは明らか。

父親もやっと気づいたのか、移動生活をやめ定住生活へとやっと考えを改めてくれます。

が、住まいは人里離れた山奥。築数十年といった感じの廃屋とも言える家。電気、ガス、水道も通っていない。

ガラスの城

とは言え、子供たちは家を手にした事に喜んでいる様子で、笑顔を絶やさない姿に胸にくるものがありました。

それも父親が約束してくれたガラスのお城を一緒に作れるという未来の夢があったからなのでしょう。

職につかない親。たくましく生きる子供たち

山奥暮らしにも慣れ始め夢から目が冷めたのか、現実に直面する家族たち。

食べるものもなく、このままでは餓死してしまうと親に訴えるも全く職に就こうとしない父親。

こんな貧乏生活で、かつ学校に通えない日々を過ごすも主人公の女の子は売れっ子ライターの名声を手に入れるほどに成長。

親がダメすぎると子供たちは自分たちで何とかしなきゃという想いが強くなるのでしょう。

隠し続けた家族との記憶

金融アドバイザーの男性と婚約することも決まり、順風満帆の日々を送る主人公。

自身の黒歴史も受け入れてくれるほどの心の優しい彼。婚約者としてこれ以上ない理想の男性なのに、父親は彼に腕相撲で負けた腹いせにワンパンチを喰らわし、険悪な仲になってしまいます。

しまいに、その彼から金の無心しようと考えていたことを知り、彼女はブチギレ。家族との縁を切るなど、二度と合わない、二度と姿を見せないでとこれまでの鬱憤が大爆発。

とは言え、帰る場所はパパの所

とどめを刺された格好の父はあまりのショックで寝込み、それが影響してか病に伏してしまいます。

余命わずかなので一度だけで良いから会いに来てと母親が懇願するも、そんな義理はないとバッサリと切り捨てる彼女。

兄妹が説得するも効果なし。これまでの極貧生活をさよらなして生まれ変わろとしている彼女。

果たして、このまま家族を捨ててしまい、父親は娘との再会を果たせずこの世を去ってしまうのか。

ガラスの城

ぜひご覧ください。

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脱獄9回って。ものすごい執念「パピオン」

始まりは見に覚えのない殺人罪

朝起きて訪問客かと思いドアを開けたら警官がゾロゾロと入ってきて逮捕。

罪状は殺人罪ということだけど主人公パピオンには全く持って見に覚えのない話。

殺人が起きた時間帯には彼女と一緒に過ごしていたこともありアリバイ十分。なのに警察は全く聞く耳を持たず再捜査をしてくれる様子もなし。

明らかにパピを陥れようとする仲間と警官が結託したもの。次第に無罪を主張する気持ちも薄れていき、状況を受け入れることにしました。

で、この時代のフランスは罪人は植民地ギニアに送られ、その数は8万人に及び一人も祖国に戻るということがなかったとか。

こうしてパピの長きに渡る刑務所暮らしが始まるのでした。

用心棒を名乗り出たはいいけれど

当時、ギニアへの移動は大型船。船内にはいくつもの牢屋が設置されており、しばらくの間、集団生活を強いられます。

罪人同士で喧嘩や殺人などは日常茶飯事。警備員の目を盗んでは弱き者は強面のお兄さんにボコボコにされたり、お金を取られてしまいに殺されてしまうということ。

パピはその心配はなかったものの、彼には脱獄という遠大な計画がありました。そのためにどうしてもお金が必要。

ということで、お尻に大金を忍ばせているという噂の元官僚ダグの用心棒を名乗りです。

最初こそパピの用心棒の提案を拒んだものの、危険な目に合ったことで彼の提案を受け入れることにしました。

こうしてパピはダグの用心棒となった訳ですが、これが結果的には良かったのか悪かったのか・・・。

2年間の独房生活に耐え抜く。

ポツンと1軒屋ばりの孤島にそびえ立つ刑務所。過去に何人もの受刑者が脱獄を試みたものの成功した人間はなし。

脱獄に失敗した受刑者は、警備員を殺したことで受刑者の目の前でギロチンによる公開処刑に処せられます。

恐怖心を刷り込ませることで脱獄という無謀な考えを起こすなよというメッセージが含まれているのに、ダグには全く効果なし。

こうして1回目の脱獄を行いますが、島から出ることなくあっさりと捕まり2年間の独房生活を強いられます。

精神的に追い込まれ、病んで命を落とす者が多い中、ダグはこの試練を乗り越え再び元の刑務所施設に戻ることができました。

二度目の脱獄は成功したかに見えたが・・・

2年間の独房生活を強いられても、ダグの脱獄の夢は潰えることなく2度目の脱獄を敢行。

島を抜け出し、海に出たものの座礁して奇跡的にコロンビアにたどり着きました。

こうして脱獄に成功したかに見えましたが、コロンビアの追放があったのか、刑務所スタッフが村まで訪れ、これまた御用となるわけです。

友人の残るという言葉に驚き

2度目の独房生活は5年。これもまた乗り越えることができたダグは最終流刑地、デビルズ島に移送されます。

そこには一緒に脱獄したダグの姿。ダグはすっかり島の生活に慣れきった様子でしたが、ダグの脱獄の提案に大喜び。

最後まで用心棒として使命を全するパピの姿勢に男気を感じました。

二人で簡易的な浮き袋をつくり、崖が飛び降りてさぁ脱獄という瞬間に、ダグからまさかのセリフが・・・。

ここでの暮らしに慣れてきってむしろ生涯をここで暮らしたいとのダグの本音にちょっとわかるという感じがしました。

パピも同じように捉えたのでしょう。無理に脱獄を進めることなく彼一人で大海へ。

こうして再び脱獄をするわけですが、彼をここまで突き動かしたものは何なのか、本国に残した彼女のためなのか、生き証人としてこのひどい仕打ちを世に知らしめることなのか・・・。

とにかくこの脱獄が成功するのか否か、ぜひご覧ください。

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ハリウッド

末っ子の狂犬ぶりが凄まじい「インスタントファミリー」

親と離れ離れで暮らす子供がこんなにいるとは

わけあって児童施設に入所している子供たち。米国では社会問題なるほどにその数は多く、そんな状況を一人でも多くの人に知ってもらいたいという意図を感じました。

生々しいと思ったのは里親、里子のマッチングイベント。まるで婚活パーティを見てるかのごとく目当ての子供に近づいては気を引こうと必死。

ただ残酷なのは人気が集中するのは小さい子どもたちばかりで中高生ともなるとどの親達も全く興味なし。

彼らも自分たちに声がかかるなとは思っておらず、集団になってこの様子を冷たい目で見ている感じ。

双方とも壁をつくるものだから、これでは良い結果が得られるわけがない。

一人だけと思ったのにまさかの3人預かり

が、主人公の夫妻は、彼らに声をかけてきた中学生位の女の子から頭が離れず、里親になることを希望。

児童相談センターの人も大喜び。なかなか里親になってくれない彼らを引き取ってくれるというのだから。

そんなご満悦の態度に、有頂天気味の夫婦に次の瞬間、衝撃が走ります。何と女の子には二人の兄妹がいて、一緒に引き取ってもらいたいと。

この申し出に最初は難色を示していたものの、離れ離れになる子供たちことを考えると胸が痛む。てなわけで三人とも引き取ることとなったのです。

三者三様。子育ても大変

年の離れたこの兄妹。長女は中学生位で多感な時期。最初こそいい子ちゃんにしていたけど、事あるごとに里親と衝突。反抗心むき出しで心を通わすことが全くできない状況が続きました。

長男はおとなしいものの、極度の怖がり&ドジっぷり。けど兄妹の中では一番愛されキャラじゃないかな。彼のドジっぷりシーンはほっこりするものばかりでした。

最後に末っ子の女の子。これが一番強敵だったかも。とにかく頑固でポテトチップスしか食べない。思うがままにことが進まないと大声を上げて喚き散らす。

普段はおとなしいのに火がつくと誰も止められない。とんだモンスターっぷりを発揮していました。

育ての親がやっぱり一番に涙

悪戦苦闘の毎日でしたが、次第に子供たちも里親を実の両親と見るようにもなり、「ありがとうパパ」、「おやすみママ」など言葉が自然に出るように。

里親の二人は、この言葉に自分たちのしてきたことは間違っていなかったと歓喜。残すは長女の心を開くことだけとなりました。

が、実の親がまさかの子供を引き取りたいとの意向を示し、愕然。

これまでの苦労は何だったのかと里親二人は呆然。長女が実の母との面会時に見せた笑顔もこれまた苦痛にとどめを刺すようなもので・・・。

最後の晩餐。涙ものです。

裁判では、実の母が子供たちを再び生活すること認める判決となり、こうして里親たちの子を持つ夢は絶たれてしまったのです。

子供たちも状況を飲み込んだのか、里親と離れ離れるになることを惜しみ、食事中にもかかわらず自室に戻る末っ子の後ろ姿には、ジーンとくるものがありました。

とは言え、最後はとんでもない結末が。ぜひご覧くださし。

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日本映画

映画に仕上げた制作者がすごい「嫌がらせ弁当」

どう物語かしていくか

テレビなどでも話題となった実話に基づくキャラ弁のお話。確かブログでほぼ毎日のように弁当の写真がアップされ、そのネタが秀逸。

一般的にキャラ弁となると、キャラクターを食材で表現するのが一般的。が、この作品に登場するキャラ弁はかなりシュールな作品ばかり。

誰もが目にするあの黄色いパッケージの木工用ボンドだったり、BOSSの缶コーヒー、視力検査用シート、果ては貞子などなどセンスあるキャラ弁が豊富

が、弁当ばっかり紹介する物語では、何一つ盛り上がることなく終わってしまう。

ので、キャラ弁に共感したブログ読者の生活シーンとダブらせてみたり、娘の恋愛をからせまたり、ママが倒れてしまったりとアナザーストーリーを絡めていくことで作品が成立しています。

最終的には母娘の関係修復に収斂していくのですが、それが違和感なくスッと入り込んでくるのは制作スタッフが優秀だからでしょうね。

嫌がらせ弁当

母と子のあるあるネタに共感

これも全ては子供に対するママの強いメッセージが込められているもの。

元々は口も聞いてくれない、話をしても無視を決め込む娘の改心を狙ったもの。

世のママは子供の反抗期に困った出来事は色々とあるはず。それが本作品で共感できる点が多々あり、大ヒットに繋がったのだと思います。

ママの熱量が半端ない。愛されている

まぁ、子供の反抗期をスルーする親が大半。いつかほとぼりが覚めるのを待つというのが一般的かなと思います。

が、このちらのママさん。生活指導の先生ばりにしっかりと子供の向き合っている所が凄い。相当な熱量がなければ途中で断念するでしょう。

3年間も続けたというのは、それほどまでに子供を愛していたからでしょうね。

しだいに心を開く娘

そんな親の嫌がらせ、熱量、メッセージが伝わったのか、次第に心を開く娘。

ママにお弁当づくりを教えてもらうシーンでは、ママの想いが通じたとちょっとうるっと来ましたね。

離れて暮らすこととなった娘。ママの偉大さを実感するのはそう遠くはないと想います。

そりゃ~ネタはつきるわな。

それにしても、よくもまぁ3年間も止まることなくキャラ弁づくりができたなと感心しちゃいます。

切り口も、学校行事ネタから、話題の芸人ネタ、ママが最近ちょっと気になる事など、あの手この手を使い飽きさせない工夫に頭の下がる思いです。

社会人で言えば、毎日のように企画のネタを出すようなもの。1ヶ月もしない内にネタが枯渇するのは目に見えています。

いろいろな意味で示唆に富む作品でした。

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Blog 反省

こんな高度な文明が存在したとは。「アレクサンドリア」

時はローマ帝国東西分裂後のエジプト

ローマ帝国統治下のエジプトが舞台となっている本作。ローマ帝国ではキリスト教が国教(395年)に認められ、その後、東と西に分けて統治していくことに。

当時のエジプトは東ローマ帝国の統治下。エジプトらしい文化が栄え、生活様式、建築物、宗教などもオリエント風とでも言いましょうか、まだ独自性を保っていた感じが作品から感じられました。

キリスト教がまだ普及していないとは

が、次第にローマの文化が入り込んだのでしょう。まず宗教においてはキリスト教が急速に信者を集め始めました。

エジプトにはそれまで崇拝する神があり、数としてはキリスト教信者より多く、逆にキリスト教が異教徒ととして捉えられている所に時代を感じましたね。

次第に勢力を増すキリスト教信者に、押され気味となった非キリスト系の信者は、武力を持って彼らを制圧することを計画。

街中で開催されているキリスト教信者による集会に襲撃し、逃げ惑うキリスト教信者。追う非キリスト系市民。

これでキリスト教徒も一掃されるかと思いきや、キリスト教徒も負けてはいません。剣を持って応戦し、次第にその数は膨れ上がり、逆に非キリスト系市民が劣勢に立たされ、お城に立てこもるという、一瞬にして立場が逆転してしまったのです。

古代の時代に図書館?

高い城壁に守られ、何とかキリスト教信者からの攻撃をかわすことができました。城外には驚くほどのキリスト教徒の群衆が。

この対立の収束に向けローマ帝国の長官が仲裁に入り、城を開放することを要求。泣く泣く城を受け渡すこととなったのです。

その際、図書館にある書物をできるだけ多く持ち出そうとします。

巻物みたいな書物で、その数が数千、数万と言ってもいいでしょう。歴史的書物なども数多くあったことでしょう。

現存していれば、古代エジプトの研究もかなり進んだと思われます。

文明がかなり発達しなければ、学問が栄えることはなく、この時代の文化水準の高さが伺いしれます。

地動説と言えばガリレオしか思い浮かばん

特に、この時代に地動説を発見した主人公の天文学者のヒュパティアはすごいの一言。彼女の説は、1200年後にやっと説として立証されるのですから。

彼女がキリスト教徒たちに殺されず、後世に研究の成果を伝えていれば、地動説も、もっと早く立証されていたことでしょう。

こうして高度な文明は歴史から忘れられる?

ローマ帝国もそうですが、古代は文明的にはかなり発達していました。本作のエジプトの発展ぶりは、それを上回っているかさえ思います。

が、悲しいかな。未来にこれらが引き継がれることはなく、文明は再び後退してしまう。中世の封建社会やイスラム教徒によるエジプト統治では、文明的には後退したようにも思えます。

歴史とは必ずしも進歩するものではなく、高度な文明を誇っていても歴史の闇に葬り去られることを感じた次第です。