こんな高度な文明が存在したとは。「アレクサンドリア」

時はローマ帝国東西分裂後のエジプト

ローマ帝国統治下のエジプトが舞台となっている本作。ローマ帝国ではキリスト教が国教(395年)に認められ、その後、東と西に分けて統治していくことに。

当時のエジプトは東ローマ帝国の統治下。エジプトらしい文化が栄え、生活様式、建築物、宗教などもオリエント風とでも言いましょうか、まだ独自性を保っていた感じが作品から感じられました。

キリスト教がまだ普及していないとは

が、次第にローマの文化が入り込んだのでしょう。まず宗教においてはキリスト教が急速に信者を集め始めました。

エジプトにはそれまで崇拝する神があり、数としてはキリスト教信者より多く、逆にキリスト教が異教徒ととして捉えられている所に時代を感じましたね。

次第に勢力を増すキリスト教信者に、押され気味となった非キリスト系の信者は、武力を持って彼らを制圧することを計画。

街中で開催されているキリスト教信者による集会に襲撃し、逃げ惑うキリスト教信者。追う非キリスト系市民。

これでキリスト教徒も一掃されるかと思いきや、キリスト教徒も負けてはいません。剣を持って応戦し、次第にその数は膨れ上がり、逆に非キリスト系市民が劣勢に立たされ、お城に立てこもるという、一瞬にして立場が逆転してしまったのです。

古代の時代に図書館?

高い城壁に守られ、何とかキリスト教信者からの攻撃をかわすことができました。城外には驚くほどのキリスト教徒の群衆が。

この対立の収束に向けローマ帝国の長官が仲裁に入り、城を開放することを要求。泣く泣く城を受け渡すこととなったのです。

その際、図書館にある書物をできるだけ多く持ち出そうとします。

巻物みたいな書物で、その数が数千、数万と言ってもいいでしょう。歴史的書物なども数多くあったことでしょう。

現存していれば、古代エジプトの研究もかなり進んだと思われます。

文明がかなり発達しなければ、学問が栄えることはなく、この時代の文化水準の高さが伺いしれます。

地動説と言えばガリレオしか思い浮かばん

特に、この時代に地動説を発見した主人公の天文学者のヒュパティアはすごいの一言。彼女の説は、1200年後にやっと説として立証されるのですから。

彼女がキリスト教徒たちに殺されず、後世に研究の成果を伝えていれば、地動説も、もっと早く立証されていたことでしょう。

こうして高度な文明は歴史から忘れられる?

ローマ帝国もそうですが、古代は文明的にはかなり発達していました。本作のエジプトの発展ぶりは、それを上回っているかさえ思います。

が、悲しいかな。未来にこれらが引き継がれることはなく、文明は再び後退してしまう。中世の封建社会やイスラム教徒によるエジプト統治では、文明的には後退したようにも思えます。

歴史とは必ずしも進歩するものではなく、高度な文明を誇っていても歴史の闇に葬り去られることを感じた次第です。

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