キャバレーの用心棒から華麗なる転身
お店でちょっと迷惑な客がいれば、首根っこをとっ捕まえて外に放り出す。
激高して殴りかかてくる客に対して鮮やかなカウンターパンチ。
本作品の主人公は昔で言うキャバレーの用心棒といった所。揉め事があれば即座に彼が火消しをする。お店にとっては大変ありがたい存在でした。
子供二人を育てるのに十分な収入を得ていた彼でしたが、お店が改装することでしばらくの間、無職状態に。とは言え、家族を養っていかないといけない。
質屋に時計を入れたりと彼なりの金策を進めるも、家族3人を養うまでには・・・。
そんな時に舞い込んできたのが、超売れっ子ピアニストからの運転手のオファー。早速彼の所を訪問するとビックリ。
彼が、というかこの時代の風潮なのでしょう。彼が忌み嫌う黒人だったのです。
ぶれない姿勢に共感。
ピアニストからのオファーはドライバー兼彼の身の回りの世話役。
お給料は家族3人を養うには十分すぎる程、金額ながらも黒人の世話役などまっぴらごめんと、せっかくのオファーを断ります。
が、ピアニストしてはぜひとも彼にそばで働いて欲しい。世話役はなしとして、かつ当初のお給料よりもさらに金額を上げて再オファー。
奥さんからの支援もあって渋々、このオファーを受託するのでした。
実際に働いてみると、雇い主だろうが、媚びへつらうことなくマイペースを貫く彼。お坊ちゃん育ちのピアニストも最初こそ戸惑いを見せたものの、次第に彼のペースにはまっていくのでした。
超がつくほどの売れっ子なのに・・・
北部では、コンサートを開けばとんでもない数の観客を集めている売れっ子ピアニストなのに、本作品で描かれている南部ツアーは、どこも小さな箱ばかり。
個人が主催するようなパーティで演奏したりと小さな箱ばかり。
そもそもこのツアーは、お金目的ではなく、南部の人種差別を身を持って体験したいというもの。
マジ、意識高めの人だなと関心しましたよ。
壮絶なる黒人差別に閉口
学校で学んだ人種差別ですが、本作品で描かれるその内容がかなりえげつないものばかり。
例えば使用するトイレが別であったり、黒人のそれは屋外の簡易トイレ。スーツ屋に行けば試着を遠慮されたり、控室として用意されたのが掃除道具置き場。
しまいにはホテルでの食事は黒人お断りという有様。
これにはこれまで怒りを抑えていたピアニストも呆れ果ててしましい、予定していた演奏をキャンセルしてホテルを後にするのでした。
さすが奥さん。すべてお見通し
彼とピアニストの間で、クリスマスには家族のもとに返すという約束がありました。
猛吹雪の中、長距離を走破し、激しい眠気に負け諦めかけていた彼を救ったのがピアニスト。
彼に代わり、ハンドルを握り彼を自宅まで届け、無事約束を果たすことができたのです。
奥さんにも約束を果たしことを報告し、感動でむせる奥さん。ハグした時にピアニストの耳元で囁いた言葉がやけに印象的でした。
これ実話というのですから、輪をかけて感動したしだいです。