地ビールの雄、オリオンビール
全国各地に広がる地ビールの中でも、とりわけ知名度の高い沖縄発のオリオンビール。まだ試飲したことはありませんが、名前だけはよく耳にするだけにさぞ人気の地ビールなのでしょう。
2018年3月期の売上高は283億円。営業利益率は約11%。優良企業と言ってもいいでしょう。当然、沖縄県内では高いシェアを誇ります。
降って湧いた買収劇
そんな優良企業に襲った今回の悲劇がファンド会社によるTOB。お相手は野村ホールディングスと米カーライル・グループによる買収目的会社。
さすが目のつけどころが鋭いと言いますか、ウチらが経営の実験を握れば、さらなる株価上昇は見込めると踏んだのでしょう。
今まであれば、TOBを仕掛けられた会社は既存の株主を交えてTOBを仕掛ける会社と激しい攻防が繰り広げられますが、これといった対立もなくすんなりとTOBの軍門に下ることとなったのです。
株主アサヒの静観
オリオンと業務提携を結び株主でもあるアサヒビールは、今回の買収にはただただ静観。
というのも、優良企業と思われていますが実の所、将来的にこの成長が続くかという疑問が。
そもそもオリオンビールの高い利益率はお国の特例によるもの。1972年に沖縄県が本土に返還される際に沖縄県の産業振興と住民生活の安定を目的とし、ビールの県内出荷分は酒税を20%軽減という特別措置が設けられています。とは言え、この措置未来永劫とは行かず時限的なもので、そろそろ終了を迎えるのではと言われています。
ビール業界関係者の中では、今回の買収劇に、「この措置法切れのことを知っての買収なのか?」という疑問の声も上がるほど。
てなわけで、特に今回のTOBは騒がず驚かずの姿勢を貫き、とりあえず従来通り、10%の出資に留めることとなったのです。
国産ビール援助なくしては立ち行かない?
新たな環境でスタートを切ることとなるオリオンですが、特例措置法切れの他にも不安が。
アサヒビールとの提携により販売支援だったり、開発だったりと多くのことを学んできたわけです。アサヒとの提携が解消となった場合、オリオンはビールを作れなくなるのではという不安の声も
全国の地ビールメーカーでは、大手の力を借りずに独力で販売ルートの開拓やら一定の技術力を有しているだけに、オリオン規模の会社なら、独力でも何とかなるのはとは思うのですが。
とにもかくにも味が落ちたなんてことが起きないことを祈るばかりです。その前にとりあえず試飲だけはしておこうと思った次第です。