第6次で平和が訪れたなのに再遠征とは?
フリードリッヒ9世率いた第6次十字軍により、聖地イエルサレムをイスラム教徒より奪還。
和平交渉も成功し、10年間は両者の間に平和が訪れたのですが、この契約期間が過ぎると、ほころびを見せるようになり、再びイエルサレムはイスラム教徒による支配に戻ってしまいました。
今度は法王も認めるルイ9世の出陣
こうして再びイエルサレム奪還に向けて十字軍遠征が計画されます。
軍勢を率いるボスは信仰心も深く、法王からもお墨付きをもらうほどのエリート中のエリート、フランス王ルイ9世。
第6次十字軍、第3次十字軍を上回る軍勢を率いることもあり、圧勝に終わるのではというのが大方予想。
まずはエジプトを目指して進軍を進めていき、次々と時の王朝、アユーブ朝の守る都市を次々と撃破していきます。
対するイスラム側は混乱の極み
イスラム側のアユーブ朝は、ライオンハートことリチャード王のライバルとも言える英雄サラディンが建国した王朝。
それまで仲違いの多かったイスラム社会を一つにまとめるなど、サラディンの功績は非常に大きいものでした。
が、彼の死後数十年過ぎたこともあり、再び悪いくせが顔を出したのが内乱が勃発。そんな時に十字軍来るの報を聞き、これは対処しきれないということで和平交渉を切り出します。
好条件を一蹴。血を流してこそ十字軍
和平の内容はイエルサレムに加え、いくつかの都市も無血で引き渡すこれ以上ない好条件。
なのに、ルイ9世は、あっさりとこの条件を拒否。
あらためてアユーブ朝に対し、戦うことでイエルサレムを奪還することを通告。これって第5次十字軍時と一緒。
この時は、イスラム勢の反撃にあい、逆に十字軍側はまさかの撤退。無血でイエルサレムを手にする好機を逃したばかりか、さらにイスラム側に休戦を受け入れるための諸条件を提示する羽目に。
モンゴル軍をも倒した猛者。マメルーク軍を相手では・・・。
歴史に学べば、ここはイスラム勢の好条件を飲んだ方が得策に見えますが、勝ち戦が重なり士気もアゲアゲ状態。
勢いに任せて進軍を重ねた結果、とんでもない返り討ちにあい、とてつもない代償を支払うことになります。
十字軍の相手は、その後、アユーブ朝に代わりイスラム世界を支配するマメルーク人。とにかく戦がめっぽう得意。
アジア・中東を震撼させた、あのモンゴル軍さえも撃破したというのだから、相当な猛者揃いと言ってもいいでしょう。
で、結果は十字軍全軍が捕虜になるという前代未聞の結果に終わり、結果は大惨敗。
大勝利を手にしたマメルーク人は、この勢いをかって時の王朝も倒し、自ら施政権を樹立。
てな具合に、第6次十字軍は、キリスト教徒にとっては最悪の王朝を樹立させる、そのきっかけを与えることになってしまったのです。
あの時、条件を飲んで休戦に入っていれば、キリスト教世界、イスラム世界の歴史も大きく変わっていたことでしょう。