1日で1兆円以上の破壊力
アリババ主催の中国の独身の日に実施される毎年恒例の特大セール・キャンペーン。今年もとんでもない売上を記録し、その額何と1兆円以上。
14億人の市場パワーがいかに凄まじいかを思い知らされた瞬間でした。
驚くことにこのセール、毎年ほぼ右肩上がりで2020年は対前年8割増しだとか。ライバルのJDドットコムも約3割増しと中国市場もECの存在感の高さを印象づけました。
出る杭は打たれる?規制強化の波
とは言え、過去最高をさらに更新した格好のアリババですが、素直に喜べない深刻な事情が・・・。
独身の日の前日に中国当局がネット企業の独占ン的な行為を規制する「プラットフォーム企業の経済領域での独占禁止ガイドラインを発表しました。
これまでアリババやJDドットコムに対しては優越的立場の乱用が疑われていましたが、これまではお咎めなし。
が、今回のこの発表は本格的に調査しますよという脅しにも見て取れます。
GAFA同様、どうしても規模が大きくなるとお上の方から睨まてしまうのはどこの世界も一緒なのでしょう・・・。
機を見るに敏。投資家達の懸念
この発表を受けて、当の本人達よりも敏感に反応したのが投資家の方々。
これまで通りの商売ができない。特大のセールもパワー半減になるとでも予想したのか、過去最高の売上を記録したのに株価はダダ滑り。11日の終値は9.8%下落しました。
早速、動き出す中国当局。
ガイドライン発表を受けて即座に行動に移すのが中国のすごいところ。
日本でもサービスが実施されている「投げ銭」サービスに対し、規制強化を発動しました。
ライブ配信する企業を登録制とし、未成年者による投げ銭を禁止しました。
そもそもこちらのサービスがやりすぎ感満載。社会問題にまで発展していましたから、なるべくしてなったということでさほど驚かれませんでしたが、当局の動きの早さにはネット企業はさぞ戦々恐々だったはずでしょう。
狙い撃ち感ありありのアリババ
プラットフォーム規制の中で、特に当局の目が厳しいのがアリババ。ガイドライン発表前にはアリババ傘下の金融系企業が上場廃止になり、これがあある意味、規制強化の予兆だのでしょう。
中国当局の考えは、「民営経済(民間企業)に携わる人達を党の周囲に団結させる」という方針を掲げています。
その方針に照らすと、プラットフォーマーは非協力的と映ったのでしょうか。
日本でも民間企業の経営に口をはさむ政府の姿が見られます。携帯電話会社もさぞ大変なことでしょう。
良き方向に転べばいいですが、産業発展を阻害しないことを切に願うばかりです。