最後までプロに徹しきれなかった二人。映画「ジョン・デロリアン」

ジョンデロリアン 映画ハリウッド

FBIとの悪魔の契約が事の始まり

時は1977年。大統領はカーターだった気がします。当時のアメリカは麻薬取引が盛んで元締めの尻尾を捕まえるべく、FBIもあの手この手で捜査の網を広げていました。

そこで編み出したのがおとり捜査。飛行機で遠く中南米でコカインをピックアップし、元締めに納品する運び屋さんことジムが、ひょんなことからFBIの手先として働くこととなったわけです。

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高級住宅街は何かとメリットが多いかも

彼の仕事はと言えば、麻薬の元締めのボスからのオーダーをFBIに横流しして、取引の現場を抑えさせるというもの。

元締めからはFBIの手先だろうと疑われるし、FBIから元締めに対して積極的に麻薬取引をしろと勧めらるし、ほぼほぼ板挟み状態。とんでもない世界に足を突っ込んでしまったと思ったことでしょう。

が、これまでの運びの罪をチャラにしてくれるという条件付きだから、無下に断ることもできない。さらにFBIから高級住宅をあてがわれているのですから。

しかもご近所さんにはセレブばかり。そして、あの男と運命の出会いを果たすことになるのです。

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出たー。これが噂のデロリアン

その男こそ、バックトゥザフューチャーで一躍有名となった伝説のスポーツカー。デロリアン。開発者本人の名前だったことをこの作品で初めて知りました。

元々GM出身の彼は、GTOという名車を世に送り出すほどの敏腕カーデザイナー。それが地位も名誉も投げ捨て、GMから飛び出し、自分でカーメーカーを立ち上げることを決意します。

多くの著名人を集めたパーティで、デロリアンの模型を披露するなど、プレゼンテーション能力もばっちり。しっかりと潜在顧客に対するアピールをするなど抜け目ない。

といった感じで幸先良いスタートを切ったわけですが、いざクルマが出来上がると不具合の連発。納車直後にエンジンがかからないなどの事故が発生し、大きく信用を失墜。

デザイナとしては優れた能力は持っていましたが、経営者にとしてはちょっと力が及ばなかったのでしょう。

破天荒すぎるよ。デロリアン

デロリアンは全く売れずじまいで在庫は積み上がる一方。資金も枯渇してきて返済期日までにお金が用意できない危機に見舞われます。

で、デロリアンが取った窮余の策が、麻薬密売。どこで仕入れたのか知りませんが、ジムが麻薬の運び屋ということを知り、元締めから麻薬を譲ってもらえるよう打診します。

資金繰りに犯罪にまで手を染めてしまったデロリアン。何度もジムが今なら引き返せると忠告しても聞く耳を持たない。

こうして、ジムは親友を裏切る形でFBIにこの情報をリーク。ホテルで行われた麻薬取引の現場に待機していたFBIの職員にデロリアンは捕まってしまいます。

お互いに爪が甘かったってこと。ジムは今どこで何している?

栄光から一気に地獄に突き落とされたデロリアンですが、裁判で常に無罪を主張。で、ジムが参考証人として出廷します。

焦点は、デロリアンから麻薬取引をしたいから助けてという依頼があったかどうか。

おとり捜査で麻薬元締めやデロリアンをFBIに引き渡したという後ろめたさが働いたのか、彼は明言はなかったと答え、ここに晴れてデロリアンの無実が確定しました。

大きな獲物を取り逃したFBI。ジムに対して厳しい措置をするかと思いきや、保護証人という形でFBIの庇護の元、余生を送ることとなりました。今も消息は不明だとか

一方のデロリアンは、その後もいくつかの訴訟騒ぎに見舞われ、そのほとんどが敗訴だったとか。

とにもかくにもデロリアンの破天荒っぷりだけがやけに印象に残った作品でした。

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