炭素削減クレジットとは
二酸化炭素排出を削減したいけれど時間がかかるよという企業向けの救済策として、よく取り上げられる二酸化炭素削減のチケットの購入。
世界で最も電気自動車を販売しているテスラーは、このビジネスを展開して、他の自動車業界から引く手あまた。このチケット売りの商売で儲けていると言っても過言ではないでしょう。
この商売を知ってか知らずか、他の業界でもこの動きが活発に行われているのを知り、驚きました。
供給元は、あの石油メジャー
20世紀まではウハウハ状態だった石油メジャーですが、環境意識が高まるにつれて事業の見直しが迫られています。
石油依存のビジネスから、いかに脱炭素社会に合った商売をしていくか。どこも必死になって取り組んでいます。
シェルでは、植林活動に積極的に取り組むことで、LNGで発生する二酸化炭素を相殺。これで形的には二酸化炭素を排出しないLNGを商品化することができました。
第三者機関のお墨付きと呼べる証明書をつけて、外販。東京ガスは、このクリーンLNGを国内企業に販売して、今まさに引っ張りだこ状態なのです。
BtoCだけじゃない。BtoBも環境への意識が高まっているんです。
購入先は、三菱地所、いすゞ自動車、東芝、ヤクルト、ルミネ、アサヒビールなどなど。脱炭素社会への関心が高まる中、いずれ環境が商品選択基準の一つになると睨んだ動きにも見えます。
他にも、投資家対策という側面もあるでしょう。ESG投資が盛んになる中で、環境問題に積極的に取り組んでいる姿勢は、投資を呼び込む上で不可欠になってきます。
消費者、投資家の他にも、法人同士の取引にも脱炭素が選ばれる理由の一つになっています。
特にハイブランドのサプライチェーンに入り込めた企業では、環境対策が積極的に行われているとか。サプライチェーンの頂点にいるメーカーさんが、ウチは環境に積極的に取り組んでいますと言っても、素材を提供する取引先が環境に全く配慮していないとなると、その製品自体が環境配慮型と言えなくなる。
ライフサイクルマネジメントが本格的に導入されるようになれば、サプライヤーもこの責任を負う必要が出てきます。
相殺型ビジネスは、本格的な再エネ社会へのつなぎ?
テスラーの二酸化炭素排出量削減チケットも、シェルによるクリーンLNGも、2050年の脱炭素社会までの橋渡し的な仕組みに映ります。
明日から再生エネルギーだけしか使えないと言われても、企業はそう簡単に切り替えることはできなし、商売も回らないでしょう。
ので、環境シフトをコツコツと進めながら、足りない分は相殺という形で外部から調達するわけです。
これって、ノウハウのない企業が最初は外部に委託しているけれど、経験、知見が積み重なっていくと内製に切り替える。それに似たようなものを感じます
ってなると、供給元のテスラー、シェルも、さらに先を行く商品を今後は展開していくのでしょう。
こうして脱炭素社会に向けた取り組みが加速度的に進むだなと思った次第です。