特許侵害は当人同士の話では?
今巷を騒がしている日本製鉄が発動した特許侵害提訴。訴えられたのは日本製鉄にとっては筆頭大口顧客とも言えるトヨタと粗鋼生産量で世界NO.1の宝山鋼鉄。
同業種の宝山鋼鉄が提訴されるのはわかるけど、異業種のトヨタも訴えられるというのは、中の人にとっては、何故?を5回以上、連呼したことでしょう。
100歩譲って提訴を受け入れるとしても、トヨタは宝山鋼鉄に対し、特許侵害していないという確認の元、契約しているとのこと。
トヨタにとっては、そこは当人同士で裁判で争ってよというのが本音でしょう。
日本製鉄も苦渋の決断か
大口顧客を提訴するといった勇気ある決断にいたっったのも、争点となる電磁鋼板が、日本製鉄の将来を背負う戦略商品だからです。
鉄鋼不況の中、高炉を閉鎖するなど経営が苦しい中でも、将来の飯の種を育成すべく、電磁鋼板には相当な資金をつぎ込んでいます
そんな最中に起きた宝山鋼鉄がトヨタから 電磁鋼板 を受注。当初、日本製鉄に激震が走りました。
生産量拡大の目処がつくまでのつなぎと言い聞かせ、平静を装っていたものの、蓋を開けてみたら、そんな生易しいものではなかった。
トヨタ側にして見れば、安定供給のことを考えると、複数社から供給するのは当然の結果であり、かつ競争原理を働かせてコスト低減という狙いもあったのでしょう。
とにもかくにも日本製鉄にとっては、この契約が見過ごすことはできないということで提訴に踏み切ったのでしょう。
宝山鋼鉄って一体何者
トヨタという世界トップの大口顧客との契約を果たした宝山鋼鉄ですが、そもそもは日本製鉄が、色々と技術支援を行ってきた会社でした。
両社の関係は40年近くと長いつきあいで良好そのもの。
2004年には自動車鋼板の合弁会社を成立し、2017年には友好協力40周年の記念式典も催されました。
ところが、それまでの対等、もしくはちょい上下関係だったのが、今では宝山鋼鉄は日本製鉄をはるかにしのぐ世界NO.1企業に上り詰めこれまで通りの良好な関係を維持するのは難しくなったのでしょう。
そこに自分達の大口顧客と契約までされてしまうのですから、日本製鉄にとっては心中おだやかではないでしょう。
どうなる日本鉄鋼産業
今日の新聞によれば、トヨタ側は徹底抗戦の構えを見せ、長期化するのは必至。
宝山鋼鉄の利する結果にならなければいいですが・・・。
日本の鉄鋼産業は経営不振が続き、日本製鉄も例外ではありません。
裁判で仮に負けるようなことがあれば、他の製鉄会社への計り知れいないでしょう。
とにもかくにも双方が納得する所に早く落ち着いて欲しいと思った次第です。