一時は破綻の噂も出たって言うのに・・・。
2021年3月期に、最終利益、株価、時価総額で三冠王を達成した伊藤忠。もともと首位を伺えるほどのポテンシャルがあるかと言えば、そうでもない。1990年後半には「破綻しちゃうのでは?」と噂が立つほど危機に瀕していたほど。
それが20数年で業界首位。資源ビジネスで特大のホームランをかましたかと思ったら、全く別のフィールドでコツコツとヒットを量産し、3冠王を成し遂げたというのですから、どこか好感が持てます。
資源ビジネスの失敗を機に非資源ビジネスに傾注
伊藤忠も資源ビジネスに力を入れていた時期もありました。
1966年に東亜石油の株式を取得し、和製メジャーを目指したものの石油ショックであえなく撃沈。
その後、1985年には石油精製事業から撤退。2000年代にはメキシコ湾の油田開発、2010年にはシューエルガスから撤退しました。
資源ビジネスでは、三菱、三井には到底歯が立たないし、ブレも大きいということで、非資源ビジネスに力を入れることを決断しました。
ホームランを狙うよりもヒットを量産して、チームの勝利に貢献する。ここから伊藤忠の快進撃が始まります。
非資源ビジネスって、それIT企業と変わらないじゃん
伊藤忠の非資源ビジネスとは、機械、食料、住生活などがありますが、中でも今後の成長が期待できるのが情報・金融ビジネス。事業内容はほぼほぼIT企業と一緒。
コンサルティングに始まり、データ分析、システム構築、そして運用と上流から下流まで一気通貫でサービスを提供するというもの。
競合もその道に精通したIT企業だらけ。伊藤忠も各業務別にエース級のグループ会社を当て、ほぼほぼ勝てているのですから、実力も折り紙つき。
世の中ではDX化などと騒がしくしていますが、伊藤忠はかなり昔からDXの時代が来ることを予見して、コツコツと育ててきました。
育成とは耐え忍ぶこと
DXの場合、どうしても実用化までに時間がかかります。先行投資が莫大で、資金が枯渇し、ローンチする前にポシャってしまうこともあります。
そこで、この先行投資部分を伊藤忠が肩代わりして、グループ会社の資金面を負担を軽減する仕組みを導入。
この仕組みで巣立ったグループ企業は数知れず、これが伊藤忠の三冠王に貢献したとも言えます。
IT系商社、伊藤忠
資源高、円安で我が世の春を謳歌している商社という報道を見るに、世間の見方は、資源ビジネスの商社で昔から変わらない。
ところが、今の伊藤忠を見るに、その見方も変わってくるかなと。ITの商社という見方も今後増えるのかなと思った次第です。