ごぼう抜かれした日本の半導体産業
つい最近まで世間では半導体不足が様々な産業で叫ばれ、商品の品薄、高騰に始まり、納期の大幅遅れなど様々な問題を引き起こしていました。
最近では、一時期の品薄状態を脱し、安定供給まであともう少しという所まできました。
この危機的状況を受け、日本でも国産半導体産業の育成がクローズアップされ、この度、ラピタスという会社が設立されることとなりました。
思い返せば、日本の半導体産業の歴史は、浮き沈みの激しく、Win95発売前までは世界トップクラスのシェアを誇っていたのに、PCが普及するにつれ、その座を後発の韓国、台湾、中国に奪われてしまったのです。
日本の半導体復活をかけ立ち上がったエルピーダー
後発組に刺され窮地に陥いった日本は、国が主導して、半導体メーカーの寄せ集め集団、エルピーダメモリを設立。束になってかかれば、もう一度世界トップクラスも夢ではないと思ったことでしょう。
ところが期待に反して業績は芳しく無く、2009年には国のお世話になる苦渋の決断をします。世間でいうところの改正産業活力再生法です。
国のバックアップを受け、半国有企業と揶揄されても必死に事業を継続しましたが、それから4年後には自力再建を断念することに。
こうして日本の半導体産業の復活の夢は絶たれてしまったのです。
セカンド・チャンス?ラピタス
エルピーダが自力再建を断念してから約10年の時を経て誕生したラピタス。出資会社がこれまた豪華でトヨタ、NTT、ソフトバンク、ソニー、NECなどの8社と錚々たるメンバーが名を連ねます。
出資する企業も、半導体が自社のサービスや商品に重要な役割を担っていることを再認識したからでしょう。
例えば自動車で言えば、半導体不足で深刻な納期遅れという問題が今なお続いていますし、通信会社にとっては5Gなどの通信設備の生産には欠かせないものとなっています。
懸念される奉加帳方式(ほうかちょうほうしき)の運営
ラピタスの事業運営は、出資会社にお伺いを立てて、全員がOKですよとなったら事が進められるというもの。このような形態はどの会社にもよく見られますが、全員というのが今後事業を進めていく上で懸念されています。
この全員OKという仕組みは奉加帳方式と呼ばれています。出資者みな平等な関係。リーダーというものは存在しません。
出資会社にとってはリスクは緩和されてメリットはあるものの、出資される側にとっては事業がスピーディに進まない恐れもあります。
この仕組みが、かのエルピーダの時にも採用されているとのことで、同じ轍を踏まなければ良いなと思った次第です。