過去の成功体験はなかなか捨てられない
スマホが爆発的に普及し、製造から販売に至るまで関連企業はさぞ我が世の春を謳歌していたことでしょう。
その有頂天っぷりに、この状況が来年も再来年も続くでしょうとついつい思いがち。多少の落ち込みがあったとて、また復活するに違いないとしがみ続け、気づいた時には大損を喰らってしまう。
もう少し早く手を打っていれば状況は変わっていたかもと後悔。
そんな残念な状況にならないためにも、電子部品会社イビデンのポートフォリオの入替えは大変参考になります。
スマホの売上急減
スマホ用の配板で業績絶好調であった2013年。当時はスマホが爆発的に売れ始めた頃ですが、当時はおそらく、この先数年は安泰と思ったことでしょう。
が、終わりはかなり早かったようで2016年にはピークを迎え、イビデンもその影響をもろかぶり。2016年には工場の減損処理を強いられ、最終的に赤字に転落してしまいました。
レッドオーシャンではなくブルーオーシャン
で、この先の身の振り方をどうするかと悩んだ社長は、スマホ向けの電子部品をさらに極めていく方向をあっさりと諦め、今後伸びるであろうサーバー向けの電子部品向けに注力していくことを決断しました。
その後は、その決断は本気ですよと内外の示すかのごとく、売上高に匹敵するレベルの設備投資を敢行。
終わらない次なるネタの探し
こうして、大胆な方向転換により、2022年3月期の売上高は2016年の赤字転落から約5割増、株価も2000円から7000円と大幅にアップしました。
で、現在はサーバー向け事業が絶好調ですが、これまたこの先、何年持つかはわからない。成功で終わりではなく、次なる飯の種を探すべく、社内で埋もれた技術を掘り起こす作業を行っているとか。
技術力が高さが売りのイビデンならではの飯の種探し。常に成長を求められる企業だけに終わりはないんだなとつくづく感じた次第です。