遡ること10年前。ロボット振興は始まっていた
2015年に中国政府が発表した中国製造2025。モノづくり国家として成長していこうというスローガンの元、着実に力をつけています。
中でも10大重点分野に挙げられているロボットは目覚ましい発展を遂げており、2021年末に発表した第14次5カ年計画の中では、重要部品で世界水準に追いつこうとさらにネジを巻くほど。
このように国の支援を受け、ロボット分野では様々な企業が成長を加速させています。
ソフトと製造をガッチャンコ。北京精雕科技集団
1994年創業の工作機械メーカーの北京精雕科技集団は、工作機械分野で驚きの成長を見せています。
微細加工という分野で、卵の表面に細かい文字を自動で刻んでいくというデモを公開。このデモを通じて、業界関係者を大いに驚かせました。
しかも、こちらの工作機械、日本製に比べ半値。価格面でも優位性を持っています。
その強みが、工作機械に必要な部品とソフト開発を一体化して内製している点が挙げられます。
日本の場合は、ソフト、ハードは別々。場合によっては一方を外注という場合もあります。
北京精雕科技集団のように一気通貫でかつ内製化することで、細かな技術のすり合わせも容易なのでしょう。
海外進出。北京精雕科技集団
北京精雕科技集団の商売エリアは現在中国国内が9割ですが、米国、ドイツにも現地法人を設立するなど、着々と海外進出の準備が進められています。
日本への進出はまだなものの、販売は強化していく模様で、特に微細加工や鏡面加工の分野を強く推していくようで、自動車メーカーや医療機器分野の開拓を目指します。
北京精雕科技集団だけじゃない、ロボット企業
北京精雕科技集団の他にも、家電大手の美的集団がドイツのロボット大手クーカを買収するなどロボット企業は現在、数百社あると言われています。
どの企業も、中国政府の強い支援を背景に急速に技術力を上げており、サプライチェーンの国産化も近いうちに成立するのではとまで言われています。
中国も労働者不足が深刻で人1万人に対して、ロボットは322台。まだ伸びしろがあるとも言われています。
世界のロボット需要の4割を中国が占めているわけですが、これがさらに伸びていくことが予想されます。
ロボットにはハイエンドとスタンダードとがあり、ハイエンドは日欧メーカーが強く、スタンダードは韓国、中国勢とも言われています。
が、この先、急速な技術の進歩で、ハイエンドクラスまで中国企業が進出してくるのも時間の問題かなと思った次第です。