政情不安なのに大使館スタッフは凄い
国内内戦がくすぶっている国に赴任する外交官は、さぞ肝が座っているとつくづく実感した本作品。
舞台は今なお内線が続くソマリア。いつ内線が起きてもおかしくない状況の中、韓国はどうしても国連への加盟を達成すべく、アフリカ諸国の政府に対してロビー活動を行っていました。
と同時に北朝鮮も国連加盟を狙い、韓国のロビー活動を邪魔するなど悪質な行為などもあり、両者の関係は最悪だったのです。
が、内戦をきっかけに、その軋轢を超えて両者が協力してソマリア脱出を成功させるとは思ってもみませんでした。
まさかが現実に。何が起きるかわからない
本作品で描かれているソマリアは、ちょうど内戦が始まった時期。反政府軍と政府軍のちょっとした激突はあったものの、韓国も北朝鮮も大規模な戦争には発展しないだろうと見ていたわけです。
が、その激突は不意に訪れます。街中に鳴り響く銃声と激しい砂埃。何事かと思ったら反政府軍による激しい奇襲攻撃。
これをきっかけにして、反政府軍に加わる民衆は鬼のスピードで増えまくり、政府軍も劣勢状態。彼らの破壊行為の前に、なすすべなしという状態まで追い込まれてしまいます。
大使館は治外法権かと思いきや
このような無法状態となったら、外国大使館だろうがお構いなし。ソマリアを餌に私腹を肥やす輩と見られ、攻撃対象になる始末。
韓国大使館も例外なく民衆の攻撃の的になり、火炎瓶を投げられるや銃撃に合ったり命の危険にさらされます。
政府は全く機能していないこともあり頼る所もないという絶対絶命状態。
ので、彼らは私費で軍部と交渉を行い、館内の護衛を依頼を直接行い、何とか反政府軍からの攻撃から身を守ることができました。
背に腹は変えられません
一方の北朝鮮は、内線前に懇意にしていたギャング達に、トロイの木馬攻撃を仕掛けられ、あえなく陥落。奥さんやまだ小さな子供もいるのに、ソマリアの危険な地に投げ出されてしまいます。
中国大使館に逃げ込もうと計画するも、こちらも反政府軍の攻撃でほぼ陥落状態。てなわけで、命は変えられないと、韓国大使館に逃げ込むという苦渋の決断をします。
国交という壁が脱出を阻むとは・・・
今そうですが、これってある意味、亡命行為にもなり、本国に戻れば厳しい処罰が待っています。とは命は変えられないのでしょう。
韓国側にしてみれば、これまで散々ロビー活動を邪魔してきた事もあり、拒否の姿勢を示していましたが、人道に反するということで彼らを受け入れることにします。
とは言え、長い間籠城することもできない。頼みの兵士は人数が増えたから護衛費のアップを要求してくる始末。これにはさすがに対応できないということで、護衛もストップ。
こうして彼らは、自国と国交のある国の大使館に向かい、脱出の交渉に向かいます。
北朝鮮はエジプト、韓国はフランス。どちらかOKが取れたとて問題は国交のない国の人も一緒に助けてもらえるかという問題。
場合によっては、国交のない国はソマリアに置いてけぼりという残念な結果に終わることもあるわけです。
最後まで目の離せない本作品。2021年韓国最大のヒット映画というのには納得が行きました。