鉄よりも強度10倍
繊維のくせに強度が鉄の10倍という夢の様な素材。その元となるCFRP(炭素繊維強化プラスチック。自動車の軽量化にはもってこいのこの新素材は、現在高級車を中心に採用されています。
が、加工に恐ろしく時間がかかってしまうため量産には不向き。このボトルネックを解消して、量産の道を開いたのが今回のお話です。
本命鉄鋼メーカー立ち上がる
自動車とは切っても切れない鉄鋼メーカー。
毎年自動車メーカーとの間で、価格調整が行われるほど鉄鋼はなくてはならない存在です。
が、最近では炭素繊維を武器に化学メーカーも参入。東レはトヨタ、帝人はGMとの取引の道を開いているの実情。
BMWは自社で炭素繊維を生産する工場を建設したとかしないとか。
とまぁ、鉄鋼メーカーの存在感危うしといった所なのです。
その次世代素材のCFRPの世界に参入したのが、新日鉄住金の子会社新日鉄住金マテリアルズ。少量生産にしか対応できなかったCFRPに量産化の道をつけたのです。
エヌエステプレグという特殊樹脂
CFRPの加工は、炭素繊維に樹脂を含浸させて作ったシート状の材料を何層も重ねて部品形状にして作るというもの。これが10分から数時間かかるというわけで、量産化には向いていないと言われていました。
新日鉄住金マテリアルズが開発したエヌエステプレグは、加工時間は数分。高い強度を維持しながらプレス成型にも対応できル。
この時間短縮のおかげで量産化の道を開いたのです。
けど、欠点はあるよん
こんな夢の様な素材でも、唯一欠点を挙げれば熱に弱いという点。
特に高温となるエンジン回りには、CFRP製の部品は使えません。
なのでボディフレームや外板への使用が想定されます。
それでも軽量化には大きく寄与するでしょう。
例えば車体重量が3割軽くなれば、燃費は最大22.5%良くなるとも言われています。
リッター14.5kmの僕のクルマであれば、17.6km。凄まじく燃費が向上します。
もう一つの欠点を挙げれば価格が高い
ただし、それは今までのCFRPのお話であって、新日鉄住金マテリアルズのエヌエステプレグで量産が進めば、量産効果で価格も下がることが予想できます。
鉄鋼メーカーならではのメリット
さらに新日鉄住金マテリアルズはおよ会社が鉄鋼メーカー。鉄鋼とCFRPの組み合わせも可能。お互いの素材を最適に使用した提案も各自動車メーカーに提案できるのではないでしょうか。
自動車メーカー側もまとめて発注できるメリットもありますし、しばらくはこのハイブリッド型の生産が続くと見られれます。
次世代カーはとかく電気、水素、ガソリンと動力源に目が行きがちですが、部品についても次世代に向かっていることを肌で感じた次第です。