町工場のメッカ。大田区
痛くない注射で一躍有名となった大田区町工場。優れた技術を武器に大企業が足を運ぶほど。
とは言え、そんな町工場はごく一握りで、その他大勢は大企業の下請け。厳しいコスト要求にも耐え何とかしのいでいるというのが現状でしょう。
1983年頃は5120あった従業員4人以上の工場は円高やリーマンの影響で2017年には1207に激減。
さらに2020年はコロナ禍という最大級の災難が降りかかり、現状ではさらに現象していることが容易に想像できます。
動く自治体。さらに一歩先へ
町工場の存続ということで自治体も補助金などで支援するなど地域ぐるみ雇用を守る努力をしてきました。
一定の成果を上げてはいるかと思いますが、それでも倒産件数のスピードを遅くさせるまでには至らない。
そこで考えたのが、企業連合体。個々の得意分野を集めて連合体を形成し、単体では受注が難しい案件も他企業と連携することで受注に結びつけるというもの。
企業連合体の親元、I-OTA
自治体の協力を得ながら、大田区内の5社が中心となり、2018年に企業連合体の親元となるI-OTAを成立。
この会社が中心となり、企画設計をになり、参加企業を募り、開発、生産、供給などを取りまとめています。
加盟会社は今では70社ほど。既に実績を挙げており、現在は農業系の研究機関から農機具の開発を受注。2019年にはマーレシアのスタートアップからケナフ繊維の生成に必要な酵素液製造装置を受注しました。
技術力向上にも一役
農機具関連の開発に参画した企業はこれまで農業関連の案件は出かけてきていなかったものの、ノウハウ蓄積にもなると意欲的。
I-OTAも、仕事を受注することが目的ですが、一方で企業の技術力向上も目指し、脱下請けを狙っています。
一匹狼に参画してもらうためにも
順風満帆にも見える企業連合という仕組みですが、さらに加盟会社を増やし、さらに成長を目指したい所。
そのために、単体で受注するレベル、それ以上のメリットがあることを、まだ加盟していない企業にアピールしていくことが必要になってくるでしょう。
そもそもは仕事を融通して得意な所に仕事を回す、仲間回しというものが自然発生的に存在していたようです。
緩やかな連合を組みながら互いが利益を享受する。
親元1人だけが潤ってばかりと見られないよう、今後の運用が肝になってくるでしょう。
この仕組が成功すれば他の地域への展開も十分に考えられまし、製造分野ではなくサービス業分野でも十分使えるのではと思った次第です。