大手企業の下請けに甘んじるでは食っていけない
中小零細企業とは大企業からのオーダーに対して、きっちりと製品を生産するというのが一般的。
ものづくりの流れで言えば最終局面の下流。大企業が設計などの上流を担い、この仕組で何とか日本経済は回っていましたが、海外勢との競争が激しくなるにつれ、破綻。
大企業は安価に生産が出来る海外企業に仕事に回したことで、国内の中小零細の仕事は激減してしまいました。
町工場の集積地と知られる大田区では1983年に5000近くあった中小零細企業が2017年には1207と壊滅的な状況。
この状況を打開すべく大田区では中小零細企業が連携して仕事を受注する仕組みを立ち上げました。
昔は当たり前だったのよ。「仕事まわし」
この仕組、中小零細企業で当たり前のように行っていた「仕事まわし」と呼ばれるものとほぼ一緒。
受注したものの、自社ではちょっと無理かもという案件を、仲間に相談して仕事を振るというもの。
町工場が激減したと同時にこの「仕事まわし」という習慣も廃れしまいました。これを復活させて、生き残った中小零細企業の間で融通していこうということで始まりました。
この組織は核となる5社が連携して、仕事を受注し、会員企業に対して仕事を割り振るというもの。コア企業が設計などを行い、生産は会員企業に任せるというもの。
同時多発的に広がる。中小零細連合体
大田区に限らず、このような中小零細企業による組織化の動きは、全国にも広がりを見せています。
そのひとつが京都の京都試作ネット。名前の通り試作品を主に請け負うという組織です。
ものづくりの上流の上流、試作部分を請け負うことで、下請けから脱却を狙った組織だとか。
しかも、驚くことに試作制作はほぼほぼ赤字。持ち出しも当たり前の世界。が、会員企業はそんなことは意に介さないといった感じ。
とにかく試作品制作を通じて、次なる飯の種発掘の方が重要というもの。
この取組で、ある企業は医療用の子供の心臓模型の試作品づくりに成功し、今では売上の2割を占めるほど成長分野に育て上げました。
発注元の医者はどこに頼んでも断られた末、京都試作ネットに駆け込んだとのこと。
どの企業も敬遠するような事案を請け負うことで、大きな果実を得ることが出来たのです。
恐らく、試作品止まりで終わる事案も多いかと思います。ヒット商品も1000商品のうち1つでも出れば儲けものとも言いますし・・・。
とは言え、その取組の積み重ねが大量生産にこぎつけられたと考えれば、またやる気も変わってくるでしょう。
日本のものづくりは、中小零細企業が支えていると言ってもいいでしょう。イノベーションもここから発信しているかと思うと、頑張って欲しいと思った次第です。