EVの熱管理という新たな価値。デンソー

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EVの課題とは

ガソリン車よりも維持費が安い、二酸化炭素を排出しないので環境にやさしいなどEVはいいぞと広く喧伝されており、デメリットはあまり知られていない気がします。

ガソリン車に比べると、航続距離が短く、給油に時間がかかるというのがEVのデメリット。

前者の場合、特に困るのが遠出をした時。目的地までガソリンが持つかハラハラドキドキ。運転に集中できないということも考えられます。

後者の給油に時間がかかるは、ガソリン車であれば長くても5分程ですが、EVともなれば急速充電も30分前後は待機しなければならず、これはせっかちな人にとっては地獄でしょう。

熱管理で航続距離を延長

デンソーが開発中のエネルギーマネジメントシステムは、動力機構、電池、空調の熱・電力を一括で管理するというもの。

文字面だけではイマイチイメージがつきませんが、これが航続距離の延長に繋がると聞くと、よくわからないけど、凄いことというのがわかります。

仕組みは、従来のバッテリーの電気を使って暖房するのに対し、エネルギーマネジメントシステムでは車外の熱を回収し、圧縮するヒットポンプ技術を使って暖めるというもの。

ヒートポンプは既に実用化され、デンソーの多くの商品に使われていますが、これをエネルギーマネジメントシステムに組込んで統合的に熱を管理することなのでしょう。

平たく言えば、電池を使わずに暖房させることができるので、必然的に航続距離が伸びるというわけです。

ガソリン車で言えば、ガソリンを使わずして車内の空調が使えるといった所だと思います。

熱管理で充電時間を短縮

熱暴走のある充電池。昔、昔、ノートPCの充電池から火が噴いたなんてニュースがありましたが、電池というのは繊細で、使用にあたっては十分な注意が必要なようです。

ので、メーカー側も、ある程度の温度上昇まで来たら、充電受け付けませんよという機能をつけているとか。確かパソコンのCPUも、その手のリミッターをつけていたと記憶しています。

で、デンソーのエネルギーマネジメントシステムでは、冷媒が循環する冷凍サイクル機構とエネルギーマネジメントシステムを連携させて冷却性能を高め、電池の温度上昇を抑えるというもの。

これにより、従来よりも約3分の1に充電時間を短縮できるとか。ってことは電池もコールド状態であれば、ガブガブと充電を受け付ける。ほてっているとちょっとずつしかエネルギーを受け付けないということなのでしょう。

熱管理で電池寿命を延長

充電池の温度管理は、長い目で見れば電池寿命にも繋がります。スマホで言えば充電の頻度が多いと劣化が早まるとか、満充電はよくないとか諸説ありますが、熱管理が特に重要というのを知りました。

電池の適温は10-40度がよいようで、この領域に収まるようにエネルギーマネジメントシステムで温めたり、冷ましたりを繰り返して、振れ幅を小さくしているようです。

それってマネジメントの意味ないじゃん

デンソーが開発中のこのエネルギーマネジメントシステム。ある種、モジュール品のように見えますが、メーカーによっては構成部品となる、その一部だけ欲しいという所も出てくる可能性もあり、せっかく統合が台無しという恐れも。

とは言え、そこは世界のデンソー。他社のシステムに組み込んでしっかりと性能を発揮できるよう、汎用的な構成部品も作っているのでしょう。同時並行で。

とにもかくにも、熱を管理するという新たな価値は、今後EVのトレンドになっていくことでしょう。既にボッシュも開発も進めているようですが、先に実用化できれば、この領域ではデンソー製が一番になるのかなと。日本人として頑張ってほしいと思った次第です。

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