合意なき離脱が現実味
2019年3月29日に控えるEU離脱ですが、合意なき離脱が現実味を帯びています。
これが現実のものとなれば、EU27カ国に輸出するクルマに10%の関税がかかってしまう。
てなわけで、英国での生産を縮小する動きが活発化。
例えば日産は、次期モデルのエクストレイルの生産を取りやめたり、ジャガー・ランドローバーが約4500人の人削減を発表などなど。
そしてホンダの英国生産撤退。なのに、ホンダだけがクローズアップされているのはどこかかわいそうな感じさえしますね。
ホンダの欧州事業は厳しいに尽きる
英国内の工場で生産されるホンダ車の約55%は北米向け。EU向けがが英国を含めて35%とそもそもEU向けの生産は少ないんですね。しかも生産能力は25万台なのに2018年は16万台に留まるなど、生産能力を活かしきれていないという実情があります。
と考えると、経済合理性的に今回の生産撤退は理にかなっているのですが、悲しいかな、欧州離脱と結び付けられて報道されてしまう。
どこか政治の道具に利用されている感じが否めません。
欧州で苦戦する日本メーカー
ホンダが欧州に進出したのは、世界の自動車メーカーとして認められたいからと言われています。
自動車の歴史が長い欧州で認められれば世界的な自動車メーカーとして箔がつく。
なので、F1にも参戦して知名度アップをしてきたわけですが、販売台数を見る限り、欧州シェア0.8%を考えると狙い通りには言っていません。
1000万台クラブは過去のもの
2000年台初頭に叫ばれた1000万台クラブという言葉。台数が1000万台レベルでないと生き残れないということで自動車メーカーによる合従連衡が活発に起きていました。
が、規模を追ってもさほど変化は見られない。どこも手を組まなかったホンダが生き残っているのは、1000万台クラブでなくても商売できるよというもの。
それに自身で気づいたのか、海外のあちこちに生産工場を持ってやみくもに台数を追うのではなく、効率的に生産をしていく節が見て取れます。
クルマの取り巻く環境変化も
自動運転、電動化、シェアリングなどなどパラダイム・シフトが起きているということも、台数至上主義が見直されている要因でもあるかなと。
クルマの生産ではなく、クルマを使ったサービスにシフトしていくとなると、それほど台数は重要ではなく、提供するサービスが重視されるようになると思いますね。
今回の英国撤退は、ほんの序章であり、今後の他メーカーでもこの手の動きが加速していくんでしょうね。