世界初、24時間耐久レースを踏破。水素エンジン
2021年5月に行われた24時間耐久レースに水素エンジンを積んだカローラが爆走。走行距離1634km。大きなトラブルもなく水素エンジンの安全性を証明した格好になりました。
このレースへの参加はトヨタ社長の鶴の一声だったようで、恐らく中の人は初めて耳にした時は驚きを隠せなかったことでしょう。しかもレース車両をトヨタ社長自らが運転するのですから。
社長も言った手前、自分がドライバーとして参加する所に男気を感じました。万が一事故でも起きようものなら、会社にとっても、水素エンジン車にとっても立ち上がれないほどのダメージを被るのですから・・・。
水素の負のイメージを払拭しないとはじまらない
水素エンジン車の参加は、水素の負のイメージを払拭するという思惑も働いていることでしょう。
東日本大震災の時の発電所の爆発映像があまりに強烈すぎて、水素は危険というイメージがついてしまった感じがします。
この話で思い出されるのは石原都知事のディーゼル悪者プレゼン。筒状の容器をシャカシャカと振ったら中の液体がどんどんと黒ずんでいき、いかにディーゼル車が有害かをアピールしたわけです。
これにより国内でのディーゼル車販売が大きく影響を受けたことは言うまでもありません。
水素もこれと同じ轍を踏まないよう、時間をかけて、安全性をアピールしていくことが必要。その一環として過酷な条件下とも言える耐久レースに走らせたのでしょう。
内燃機関の仕組みと似た構造はありがたい
今や将来の環境対応車はEV本命という方向に流れていますが、これまでのクルマとは構造上まったく別物となり、部品点数もかなり少なくなり、雇用が失われると危惧する声も聞かれます。
が、水素エンジンであれば、その構造は内燃機関とほぼ似た構造であり、雇用を失われる恐れも少ない。そう考えると俄然、電気ではなく俄然、水素エンジン車を推したくもなります。
しかも水素エンジンは燃焼効率がガソリンよりも高く、低速からもモリモリとトルクが発生し、出足も良い。乗り味としてもガソリン車にひけを取らない走る愉しさがあるというのですから、ぜひとも普及して欲しい。
世界を的に回すと怖いよ。HVから距離を置く
今の世界的なEV一択の流れも、穿った見方をすると対トヨタ対策にも見えてしまいます。HVで世界を席巻したトヨタ。圧倒的な技術力の高さに他のメーカーは白旗状態。今からトヨタの背中を追いかけるよりも、違うフィールドでトップを狙いにいった方が効率的。
てなわけで、EV開発に大きく舵を切った感じがします。しかも、EVの世界ではトヨタの存在感はまだまだ小さいですし・・・
お友達探しが先決。脱炭素化は電気自動車だけじゃない
そんな世界の事情を知ってか、HVの特許を無料開放したトヨタ。HVを普及させるべく、他社でもどんどん採用してよと囲い込みから開放という方向に舵を切りました。
水素エンジン車、燃料電池車も同様な戦略が展開がされることでしょう。まずはお友達をいっぱい増やすことが先決。賛同する企業が増えれば、水素関連の技術も高まっていくことでしょう。
「脱炭素イコールEV化ではない」というトヨタ社長のコメントは、かなり芯を食った内容であり、水素エンジン、FCVも加えて脱炭素に取り組むべきことに気付かされました。
実は、生産工程で二酸化炭素を発生してしまうEV。そう考えると全方位型が良いのかなと思った次第です。