震災時と同ダメージの販売実績
ご多分に漏れず自動車業界もコロナ禍のダメージを被った業界の一つ。
5月の販売実績は対前年比約45%ダウン。この数字、ほぼ震災時と一緒とのこと。その被害の深刻さが伺えます。
各メーカーとも台数を大きく下げたものの、その下げ幅においてはかなりバラツキがあり、中でもトヨタは被害を最小限に留めたのではといった感じ。
全需の下げ幅より低いトヨタ
全メーカーの対前年比販売実績が約40%に対し、トヨタのそれは約30%にとどまっています。
しかもシェアは、2019年の約50%から2020年は10ポイント増の約60%。コロナ禍で、他社からの多くの代替えを獲得した格好となりました。
ちなみに資本提携にあるスバル、スズキ、マツダを加えると約70%というのですから、ほぼトヨタ関連で占めているとも言ってもいいでしょう。
要因はヤリスのメガヒット
トヨタ単体でもシェアを大きく上げた要因としては挙げられるのが、新車効果。
2020年2月に発売されたヴィッツあらためヤリスと名を変えて発売されたこの小型車が5月の登録者販売台数で1位を獲得。
ライバル、フィットが約7000台に対し、ヤリスのそれは約1万台。このクラスでは久しくフィットの後塵を拝していましたが、往時の勢いが復活した感じすらします。
しばらくは新車効果で台数もアゲアゲ状態が続きます。これが年間を通してキープできれば、ヴィッツあらためヤリスは完全復活したとも言えるでしょう。
それと全車種併売。
2000年に発売したヴィッツから数えて約20年。商品鮮度的にフィットには劣るものの、何故今回バカ売れしているのか。
それには2020年5月から始まった全車種併売が大きく貢献していることが伺えます。
トヨタ店はクラウン、トヨペットはアルファード、カローラはカローラ、ネッツはヤリスとチャネルごとに専売車を設けていましたが、これを全て撤廃。
これにより、トヨタ店でもヤリスを販売をできるようになった訳です。
これまでは1チャネルで販売されていた車種が4チャネルで販売されることになった訳ですから鮮度が低くても台数がアップすることは納得が行きます。
とは言え、良いことばかりでないのは自明。
これって淘汰も辞さないってこと?
売る車種が増えることで、より人気車、不人気車が明確になってくるでしょうね。
例えば台数を稼げる小型車、利益幅の大きいアルファードなどどうしても偏りが出てくる。
セールスも売れる車種に力を入れていくようになると、車種の統廃合も加速していくことが考えられます。
さらにディーラーも全車種併売になったことで不採算拠点を閉じることも十分に考えられ、場合によってはディーラー間による統廃合も進むのかと思います。
これも、シェアライドなどの新たな環境変化に対応していくための一つなのでしょう。
この先、トヨタのラインナップがどう変化していくのか、加えてディーラーは新車販売に変わる飯の種を育てることができるのが、注視していきたいと思います。