検討とは言いつつも、導入されるでしょう
クルマ業界のEV化の流れは、走行時の二酸化炭素を抑えるためのもので、欧州、米国、中国などの主要カーメーカーでは将来的に向けてEVの拡充を図り、二酸化炭素の排出をゼロにするというタカーい目標を掲げています。
日本勢も、世界に取り残されまいと、ようやくEVシフトの機運が高まっていますが、海外では走行時の二酸化炭素排出抑制ではなく、生産工程全体における二酸化炭素排出抑制に力を入れ始めています。
EUが現在、検討を進めるライフサイクルマネジメント規制に対しての動きですが、これが再生エネの普及に遅れる日本にとってはかなり不利。
とは言え、手をこまねいているわけにはいかず、巨像トヨタも本格的に動き出しました。
ピラミッドの頂点、トヨタ動き出す
そもそも2050年までにカーボンニュートラル達成を掲げていたトヨタでしたが、2021年6月に、これを2035年までに達成と、その時期を15年も前倒し。
達成に向けて、重力を活用する工夫で動力を不要にした生産設備からくりの導入を増やしたり、二酸化炭素排出削減のクレジットを購入などが挙げられています。
このような取り組みを通じて世界の自社工場で二酸化炭素の排出量を実質ゼロにしていくとのこと。
さらに、ライフサイクルマネジメント対策として、ピラミッドの最下層まで二酸化炭素の排出削減を要請。自動車産業ピラミッドの頂点となる完成車メーカーが本腰を入れことで、日本の脱炭素に向けた動きが本格的に動き出しました。
部品メーカーも本気出してきたよ
例えばデンソーでは2035年までに炭素中立を目指す方針を2020年に既に発表済み。2025年までに2012年度比50%削減という目標を掲げていましたが、2020年度中に40%削減とほぼ目標を達成している状況。
ということもあってか、2035年に炭素中立は実現可能と踏んだのでしょう。
他にもアルミ圧延大手のUACJは、二酸化炭素の排出量が少ないアルミのリサイクルに着手。そもそもアルミの製錬には大量の電気が必要となりますが、リサイクルであれば電気の使用も抑えられる。
てなわけで、このような取り組みを進めているとか。とは言え、アルミのリサイクルは技術難易度も高く、実用化に向けてはちょいと時間がかかるそうですが、お上の完成車メーカーからのお達しですから、取り組まざるを得ない。むしろこれが実用化されれば競合他社に対して大きなアドバンテージになるでしょう。
ライフサイクルマネジメントって物流も含まれちゃうんだ
このように川上から川下まで全ての工程で二酸化炭素の排出を抑える取り組み、ライフサイクルマネジメントですが、その範囲が物流にも及ぶ可能性もあり、クルマ、船、飛行機の輸送業界も巻き込む大きな取り組みになっています。
例えば、車両の輸送船にLNG船を使う取り組みもそのひとつ。従来の石油を燃料した船に比べ二酸化炭素の排出が少ないLNG。造船会社も新たな飯の種が出来き、造船業界も久々に光が指したといってもいいでしょう。
再エネ普及にも弾みをつけるライフサイクルマネジメント
といった具合に民間レベルで二酸化炭素排出削減に向けた取り組みが進んでいる中、国としても脱炭素社会に向けた取り組みも活発に進められています。
中でも注目されるのが自然エネの普及拡大。諸外国に比べて遅れていることは明らか。周回遅れにならないよう日本にも頑張って欲しいと思った次第です。