ナッジ理論とは
ナッジとは英語で「そっと後押し」という意味で、自発的な行動を促すという行動経済学の理論というもの。
これを聞いて思ったのがコンビニのトイレ。いつもきれいに使用してありがとうございますという壁に貼られた掲示物を見て、きれいに使わなきゃと思います。
このナッジ理論が今、消費行動においても注目されているようです。
バスの乗車にナッジ理論を応用
ほぼほぼすし詰め状態だけでも乗ることができたバスなのに、そのすぐ後ろを走るバスはガラガラ。ほんの少し待てば、こんな辛い思いもせず、空いているバスに乗れたのにとほぞを噛む経験をされた方も多いことでしょう。
バス事業者も、乗車率の平準化が積年の課題でしたが、このお悩みを解決してくれたのがあのドコモ。
で、1本後に乗ろうと自発的な行動を促すべく、このアプリにナッジ理論を組み合わせ、見事バスの混雑の軽減に成功しました。
その仕組とは、アプリ上にリアルタイムでバスの乗車状況を配信してくれるというもの。画面上には、これから乗車予定のバスと1本後の乗車状況が表示され、ひと目で混み具合がわかるというもの。
インセンティブをつけずに、見送らせることができれば、真のナッジ理論と思ったのですが・・・。
◯◯店へ行こうではなく、◯◯店でポイントゲットが有効
ある大学での実証実験でもインセンティブは有効のようで、学内の飲食店の混雑平準化のため、比較的空いている◯◯店に大学生を誘導させる実験では、インセンティブを付与せるメッセージが行動変容率が高い結果となりました。
他に用意したメッセージは「◯◯店か□□店を選ぶとお得」でしたが、こちらはインセンティブ付与メッセージよりも行動変容率が高くありませんでした。
と考えると、自発的な行動を促すためには、インセンティブが有効であって、従来の販促とあまり変わらないのではと思った次第です。
スマホだからこそなせる技
とは言え、個々人にポイント付与するにはスマホがあってこそ。他にもバス待ち、食堂選びも共にリアルタイムに情報を通知でき、利用者の位置情報を把握できるからこそなせる技。
加えて、配信する情報も一斉ではなく、乗車する人の利用状況に併せて通知メッセージも変えられることができる。ポイントのたまり具合に合わせて、それぞれ異なるメッセージが送られてきているのでしょう。
そう考えると、自分自身の情報がほぼほぼ筒抜けな感じがして、ちょっと怖い気もします。その辺の不安とうまーく折り合いがつけば、様々なシーンで、この混雑緩和ソリューションを使えるのではと思った次第です。