増加傾向の営業秘密侵害事件
新日本製鉄がトヨタと韓国の宝山鋼鉄を特許を侵害したとして提訴しましたが、このような営業秘密侵害事件にあたる事例は2018年頃から増加傾向にあり、2021年には最多の23件にのぼりました。
毎年250-300件近い検挙数の商標権侵害に比べると全然少ない数ですが、日本技術の流出と軍事転用される危険性もあります。
2022年5月に成立した経済安全保障推進法でも、技術流出の防止は経済安保上重要と定め、国としても取り組みを強化してく姿勢を示しました。
その技術が軍事利用されている?
ドローンの撮影、計測用の技術が、偵察、爆撃などに、航空機などにも使われる炭素繊維がミサイルに仕様されたり、自動車製造や切削に使用する工作機械がウラン濃縮用の遠心分離機の製造に使われたりと民生利用の技術が、海外に渡ったとたん軍事製品に利用される可能性もあるとか。
技術流出は自社に大きな損害を与えるだけでなく、海外の紛争ごとにも知らず知らずのうちに加担していることにも考えられます。
ところが、中小企業の経営者はこの点の危機意識が低いと言われています。
狙われやすい中小企業。
ある中小企業の精密機器メーカーの経営者が書類送検されました。
というのも、中国に輸出した部品が軍用ドローンの残骸から見つかったからとのこと。
とは言え、この経営者もまさに寝耳に水。自分自身もさぞ驚いたことでしょう。まさか軍事転用されるとは思っても見なかったでしょう。
関係者いわく、日本の中小経営者は、自社の技術を過小評価しがちなので、軍事転用されるという危機意識が低いとのこと。
そこを巧みに海外企業につけ込まれているのが現状です。ので、国としてもより一層、取締が厳しくなっていくことでしょう。
まとめ。日本の技術力の高さを実感
営業秘密侵害事件を見るにつけ、まだまだ日本の技術力の高さは海外から見ると羨望の的なのでしょう。
が、その技術を軍事品に転用するなど、別の製品に転用する発想力は海外企業の方が強い気がしました。
技術の日本、サービスの海外。この両者が経済安保に抵触しない形で連携できれば、日本経済を支える中小企業もさらに成長できるのではと思った次第です。