偽札集団のボスこと“画家”は、とんでもなくヤバい人
警察に身柄を拘束され取り調べ室で多くの刑事さんに取り囲まれたイケメン男性。
このお方、偽札づくりで逮捕されたようですが、警察としては彼のボスである画家という人物についての情報を聞き出したい。
というのも、このボスに関連された人物が次々と殺され、犯人はこのボスではというのが警察の見立て。
が、このイケメン男性は頑なに警察の要求を拒否。というのも口を割ったら最後、彼の命が取られてしまうから。
例え安全を約束された警察署にいても、画家ならラクラクとそんな壁を乗り越えて一層、警察の人間全てを巻き込んで殲滅させてしまう。それほどの力の持ち主。
ところが謎の女性の説得もあり、画家なる人物について話始めることに。彼との出会いから最近の彼との出来事までつまびらやかに・・・。
人生を狂わされた売れない画家の懺悔録
彼との出会いは、ある贋作がきっかけ。画家として行き詰まり生活もままならない状況ということもあり、著名な芸術家のコピー作品の制作を請け負うことに。
精巧に描かれた作品は、素人ではまず贋作とは見抜けないほどの仕上がり。依頼主もその出来栄えに大喜び。
自分自身の作品ではなかなか評価されないものの、贋作づくりは天下一品の腕前だったのです。
その彼の素晴らしい技術に目をつけたのが、偽札集団のボスの“画家”。その確かな腕を偽札づくりに活かさないかとスカウティングする訳です。
最初こそオファーを断っていたものの、画家としての限界を感じ、かつ当時つきあっていた彼女のことを想い、偽札づくりの世界に足を踏みれていきます。
偽札づくりって奥深い。これは簡単には真似できん。
最近はあまり耳にしませんが、昔はコピーしたお札を使って逮捕されるというお粗末な事件というのがよくありました。
それにちょいと毛が生えたものかと思いましたが、これが本物のお札と寸分たがわぬほどの出来。
まず用紙は一般的に流通されていない特殊なもので、この風合いや透かしを出すために用紙を重ね合わせて再現。用紙そのものはロールで海外から調達。
インクもこれまた一般的に流通されておらず、ある光を当てると色が変化するというもの。最初こそインクの輸送車を襲撃して強奪しましたが、最終的には内製化に成功
印刷も一般的な機械ではないもので、これまた海外から中古品を購入して、修理して使えるように。
で、極めつけは山奥に立てられた偽札工場。稼働スタッフは10名に満たないものの、一人ひとりが偽札作りのプロ中のプロ。人数の少なさを感じさせないほどの働きで、新札の贋作づくりを成功させます。
そろそろ足の洗い時。組織を離れるイケメン男性
一夜にして大金持ちとなったイケメン男性。経済的には満たされているものの、ボスこと“画家”の偽札作りのためには人殺しもいとわないというスタンスが許せず組織からの脱退を申し出ます。
原版づくりで彼の才能はなくてはならないもの。彼を組織に引き留めようと、元恋人を人質に彼に組織に残るよう脅しをかけます。
目隠しされた元恋人に銃口を向ける画家。万事休すかと思った瞬間。今の彼女が銃を乱射し、この危難を逃れることに成功。
元恋人も命を落とさずに済み、このどさくさに紛れて画家を銃殺。銃を乱射した彼女とタイに逃げ込み、画家の呪縛から逃れることができたのでした。
長い、長い懺悔録の後に訪れた衝撃の事実
こうして警察に画家のことを全て暴露したイケメン男性は、最後に彼の人相についての似顔絵づくりに協力し、捜査に協力したということで釈放されるのでした。
で、その出来上がった人相が、回想シーンで出てきた画家その人とドンピンシャ。ここまでの再現性の高さなら捕まるのも時間の問題。
で、案の定、無理を可能にしてしまう画家が警察スタッフに扮して、しかも単騎で警察署に乗り込んでいきます。
画家の正体を突き止めた警察スタッフ全員を殲滅させようとしているのか、大きなバッグを片手にズカズカと。
これがとんでもない事態が起きるのかとハラハラドキドキして待っていると思わぬ展開が待っていました。
あっさりと後ろ手に捕まる画家。えっ、こんな脇の甘い人だっけと拍子抜けするほどのあっけなさ。
で、気づきました。本当の画家は、あいつだったんだと。これまた見事な贋作に警察スタッフ一同騙されていたのです。
が、騙し合いはこれに終わらず、さらなる騙し討ちが最後の最後に待っています。
とにかく久方ぶりに、面白い作品に出会えることができました