波乱万丈とはまさにこのこと。2pac「オール・アイズ・オン・ミー」

オール・アイズ・オン・ミーハリウッド

おっさん世代のラッパーとしては

おっさん世代から言えばラップと言えばMCハマー。カニ走りダンスとセリフ中心の音楽にただ圧倒されっぱなしだったことを記憶しています。

これが僕の中では初めてのラップとの出会い。

その後のラッパーと言えばエミネム。彼の生涯を綴った映画8 Mileですっかり彼に魅了させられました。

で、本作品で描かれているトゥパック・アマル・シャクール(Tupac Amaru Shakur)は、そのエミネムがリスペクトする伝説のヒップホップMC。

この作品を観て初めてその存在を知りましたが、死後20年近く経った今もなお、多くの人に愛される理由がわかりました。

オール・アイズ・オン・ミー

両親は政治思想家と意識高めの家系

両親は黒人民主主義を掲げるブラック・パンサー党の党員。そんな両親の元で厳しく育てられたこともあり、小さい頃から意識高めの2pac

黒人を差別がすさまじい世の中を変えていくという使命感にも似たものを持ち、僕のイメージした怖い黒人さんとはちょっとイメージが異なるタイプでした。

親の教育もあり、知識レベルも高く、語彙も豊富。そんな彼が紡ぐ歌詞は、どれも心に響くものばかり。

両親の教育による賜物といった感じがしました。

オール・アイズ・オン・ミー

瞬く間にスターに

訳あって母と離れて妹2人と暮らすこととなり、お金を稼ぐためにラップの世界へ。ラップのワークショップに通い、その才能にピンと来た仲間が、デジタル・アンダーグラウンドのマネージャーを紹介。これをきっかけに彼は本格的に音楽の世界へ

当初はツアースタッフとして参加していましたが、自分の歌でメッセージを伝えたいと想いが強くなり、プロデューサーに直談判。

相手は怖いプロデューサー。場合によっては首も覚悟していましたが、すんなりとOKとなり、念願のソロデビューを果たします。

ソロ・デビューしたアルバムも好調で、大手レーベル移籍も果たし、順風満帆のスタートを切りました。

オール・アイズ・オン・ミー

メッセージ性が強いだけに・・・

みんな感じてはいるけれど、口に出しては言えないような世の中の不平、理不尽な事を包み隠さず歌詞にした彼の音楽は多くの共感を得たものの、一方では多くの衝突を生みました。

また彼自身の黒人に対する差別社会の批判もトラブルを生むことに。

大スターになって大金を手にいれたにものの訴訟続きで弁護士代の支払いに追われ始末。

それでも自分の信念を曲げずに戦うことをやめませんでした。

オール・アイズ・オン・ミー

大きな試練を乗り越える度に大きく

本人は同じ部屋に居合わせただけなのに、犯人扱いされたレイプ事件

本人の主張は全く届かず、収監されることに。

オール・アイズ・オン・ミー

普通の人ならここで俺の人生は終わったと投げやりになる所ですが、何と刑務所にいながらにしてアルバムを発表。これが100万枚を超える大ヒットを記録。

彼の主張は裁判官には届かなかったものの、彼のファン達には届いていたのでしょう。

保釈後に発表した2枚組アルバムもこれまた100万枚の大ヒットを記録し、名実ともにヒップホップ界のスターとなりました。

そしてこれからという矢先に凶弾に倒れ、25歳という若さで他界。事件発生から20年以上経った今でも犯人は捕まっていないとのこと。

2017年にヒップホップ界としては初のロックの殿堂入りを果たし、彼のこれまでの功績、生き様が認めらたことは素晴らしいと思った次第です。

オール・アイズ・オン・ミー

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