これぞジャーナリズム精神。「赤い闇」。スターリンの冷たい大地で

世は第二次世界大戦の直前

作品の時代背景はナチス・ドイツが勢いをつけて世間を何かと騒がしていた時期。

作中のセリフに「まさかナチスは戦争なんぞ仕掛けてこないだろう」というのがあり、まだピリピリ状態ではないものの米国では恐慌が起き世界的な不景気状態。

いつ戦争に発展してもおかしくない状態でした。

赤い闇

はじまりはなぜ、ソ連だけ好景気

そんな呑気な政治家達に対し、危機感を募らせていたのがイギリス首相の外交顧問でもあったジャーナリストのジョーンズ。世界的に不景気状態なのに、何故かソ連だけが絶好調。

その理由を探ろうと、スターリンにその真相を聞き出そうと単身でソ連に乗り込みます。

その腰の軽さと真実を探ろうとするジャーナリズム精神には素晴らしいものを感じますが、一歩間違えれば自分の命を取られる可能性もあります。ある程度の覚悟はしていたのでしょう。

厳しい情報統制は戦争前から始まっていた

ソ連渡航後に不可解なことがいきなり頻発。ソ連に住む友人がギャングに襲われ命を失っていたとか、1週間予約したホテルが何故か2日間しか泊まれないとか、果てはモスクワから他の都市への移動は認められないなどなど。

当然、スターリンへの取材も門前払いを喰らい、ソ連好景気の真実を探ることさえできずじまいでした。

想像を絶するほどのウクライナの惨状

記者達も政府からの厳しい情報統制を敷かれているようで、思い通りの取材ができない。途方に暮れるジョーンズでしたが、あるルートから、ソ連好景気の謎がウクライナにあることを教えてもらいます。

こうして、秘密裏にウクライナに足を運んだわけですが、そこで目にしたものは想像を絶するほどの餓鬼状況。

赤い闇

路上には死体が転がり、周りの人達は無関心。当たり前の光景なのでしょう。最も衝撃的だったのが、あまりの飢えにより人肉まで差し出さえた時。このシーンはあまりにも衝撃的でした。

白日のもとにさらされた真実

当時ウクライナは豊富な穀倉地帯と知られ、ソ連にとっては有力な輸出品として重宝されていました。が、自然を相手にする農作物。年によっては収穫物にバラツキが出てしまうもの。

が、ソ連の取った行動はと言えば、輸出量は天候が悪かろうが、一切替えず、ウクライナ人達の食料をも輸出に回すという強硬手段を取り、多くのウクライナ人が餓死。当時の全国民の20%が餓死したというのですから、相当な数でしょう。

これをホロモドールと呼んでおり、ホロコーストなどと並ぶ20世紀最大の大量虐殺として言われているとか。

当時はイギリスとソ連の間では、外交問題でこじれたこともあり、この事実はイギリス政府から公開ペケとされましたが、そこはジャーナリズム精神でしょう。ジョーンズはこの記事をある新聞で発表。

これによりソ連のホロモドールは全世界に知れ渡ることになったのです。この勇気ある行動は大きな代償を払うことになるわけですが、彼の行動の偉大さは今なお語り継がれており、功績は大きいと思います。