民間人が二国間の揉め事を調整「ブリッジオブスパイ」

時は冷戦下

作品に描かれている時代は、ロシアがまだソ連だった頃。つまりアメリカとソ連がバチバチとやりあっていた頃。アメリカのCIA、ソ連のKGBが互いの国にスパイを送り込み諜報活動が激しく繰り広げ、スパイ捕獲も活発に行われていました。

本作品では、ソ連のスパイ、ルドルフ・アベルが画家に扮し、アメリカで諜報活動を行っていましたが、CIAに身柄を拘束され逮捕されます。

ブリッジオブスパイ

さすがアメリカ、三権分立がしっかりしているよ。

当時のアメリカとソ連は相当険悪な仲で一歩間違えば戦争という非常に緊張感のある時代でした。

国民も共産主義者をそこまで言うかレベルで毛嫌いしており、彼の逮捕を聞いた国民のほとんどが死刑すべきだという深刻なもの。

政府からして見れば国民感情を汲んで、極刑にするよう司法に指示するところを、それが通用しないのがアメリカ。

司法、行政、立法の三権分立が明確に分かれ、互いが対等な立場。法に照らして見れば、スパイのルドルフ・アベルにも人権があると主張し、彼に弁護人をつけ、法の下で彼の罪を裁くこととしたのです。

ある意味、共産主義と思われても仕方のないこの嫌な役を買って出たのが弁護士のトム・ハンクス演じるドノヴァンでした。

ブリッジオブスパイ

まさかの人質交換の交渉役に俺?

裁判で争うこととなった、この事件、最高裁でもドノヴァンの訴えは届かず、ソ連スパイのルドルフ・アベルは懲役を言い渡されます。

彼の一環した「私はソ連のスパイじゃない。画家だよ」の主張を退けられたのです。

という訳で、祖国に帰ることなく、残りの人生をアメリカで送ることになった訳ですが、偶然にもアメリカの兵士がソ連の捕虜となり、彼とのルドルフ・アベルの交換話が急浮上。その交渉役として、何故か民間のドノヴァンが選ばれることになるのです。

ベルリンの壁建設中のドイツ

この人質交換の交渉、当時の東ドイツで相手方の弁護士との話し合いで場所、日程を調整するというもの。

東ドイツはあのベルリンの壁がちょうど建設中。最初は壁を乗り超えるなど市民はやりたい放題。が、軍隊の締め付けが厳しくなり銃殺されるう様子を見て、次第に国の方針に従うようになっていくのです。

やっぱり恐怖心は人の従順にさせるものなんだなと。

ブリッジオブスパイ

面子を大事にする東ドイツ

この交渉で、一つだけやっかないことがあって、アメリカ人留学生も人質交換に加わっている点。つまりアメリカがスパイのアベルを引き渡すのに対し、ソ連側は2名。しかも留学生は正確に言うと東ドイツとの交渉になります。

彼らは当時、国際的に認められていない国。アメリカと対等な交渉を行うことで、世界的にも認められると思っています。ので、あーだ、こーだと難癖をつけては交渉のテーブルにつかない。

というわけで、かなり肩の荷が重い重責を背負わされた民間人、ドノヴァン。

最後は鮮やかに交渉をまとめる訳ですが、その相手からYESを引き出す交渉技は大変勉強になりました。

政治家に転身すればいいのにとも思いました。