時は第二次世界大戦のユーゴ
第二次世界大戦下のユーゴスラビアを描いた作品。街にはナチスが支配し、国民は、この占領者に従うといった状況。
とは言え、おとなしくしている訳でもなく、主人公のヒゲ男は、果敢にナチスに立ち向かいます。
ある時は、愛人を奪ったナチスの上官を公衆の面前で銃殺。その後、彼は地下生活を余儀なくされるのですが・・・。
地下生活者ってどこにでもいるのね
第二次世界大戦中に地下生活を送る作品はいくつか見てきましたが、どこも寝るだけが精一杯の場所で、長期間生活できるような所ではありませんでした。
が、本作品では遊び場があったり、キッチンもあり、簡易的なお風呂みたいなものもあり、充実した生活っぷり。
何よりも住民の表情が明るい。まぁ、コメディタッチで描かれているのだから、このような演出をせざるを得ないと思いますが・・・
で、友人の手引で地下生活を送ることとなった主人公。が、ナチスの目から逃げるものの、まだ打倒ナチスを諦めず、反撃のチャンスを伺っていました。
久々の娑婆の空気はうまい
そうこうしている内に、戦争は終了。が、地下で暮らす人達にはこの情報が全く入らず、戦後15年近く立っているのに未だ戦争中と思っています。
というのも、その間、ライフル銃や戦車の製造で地下で行っていたのです。この仕事が終わらないってことは戦争中であると勘違いするのも無理はありません。
で、地下で作られた兵器は、彼の友人を介して世界にばら撒かれていき、彼は武器商人として、巨額の利益を得ることとなったのです。
が、この地下生活もひょうんな事から終焉を迎えます。地下住民と一緒に過ごしていたチンパンジーが誤って戦車の大砲を発射。
こうして、彼らは戦争が既に終結したことを知ったのでした。
祖国分断。内戦勃発のユーゴ
それから50年近くはたったのでしょうか。時は1990年代のユーゴの内戦へと場面は移り、友人に騙された主人公は、ある国の指揮官に。
一方の武器商人の友人は、ユーゴ内戦を好機と見たのか、各民族に武器を売りさばいている始末。
そんな彼に天罰が落ちたのか、この事実を知った実の弟から手痛い仕打ちを受けることになるのですが・・・
現代社会への皮肉を込めて・・・
最初こそコメディ作品的な雰囲気を醸し出していましたが、エンディングに近づくにつれて、かなりシリアスな空気に変わっていきました。
作品の上映が1995年と、内戦真っ最中ということもあり、監督としては内戦の無意味さを伝えたかったのでしょうね。
自分の生まれ故郷がなくなるというのは寂しいものです。