第二次世界大戦を描いた「ウィンターウォー」

作品の時代背景

ドイツがソ連との攻防に力を注いでい間に、連合軍は手薄となった西部戦線の攻略。その戦いの一歩目は何と言ってもノルマンディ上陸作戦。1944年6月に行われたこの作戦以降、連合国とドイツとの激しい戦いが繰り広げられていきます。

今回の作品は、このノルマンディ上陸作戦から半年が過ぎたお話。場所はドイツとフランスの国境沿いの土地。アルザス地方。当時のフランスはドイツの占領下。しかもドイツと接しているものだから戦力も補給路も万全。そんな激しい戦地で、繰り広げられる戦いが描かれています。

ウィンターウォー

戦争末期なのか若者の徴兵

作品のメインはフランス軍軍隊のある部隊のお話。人数としては10人も満たない小さな規模で、しかも実戦経験のない若者志願兵などが数名。それをまとめていく主人公の伍長。

いくつかの戦場を経験し、射撃の名手。で、新入りにはとにかく鬼軍曹ばりの冷たさ。

古参の部下から、あまりにも冷たいのでは?という声が上がっても全く聞く耳を持たない。理由は、ベタベタしすぎると、却って死んでしまった時の悲しみが深くなるから。

何人もの大事な部下、親友の死を見てきただけということもあり、そのような心境になってしまうのでしょう。

ウィンターウォー

戦争中の心理描写がリアルすぎ

数名の仲間と一緒になって作戦を遂行していくわけです。主戦場は主に森。木々に隠れて戦いやすい面もあれば、逆に死角が多い分、おもぬ所から攻撃されてしまうというリスクもあります。

が、彼らに与えられたのは森の死守。まず周辺に敵兵はいないだろうと思うと、思わぬ所からライフルの弾が飛んできて即死。他にも迫撃砲の餌食となり、内蔵が飛び散ったりと。

そうやって昨日まで共に戦ってきた仲間が1人、2人と死んでいく。死者に対し生き残った自分を攻めたり、今度、死ぬのは自分ではないかという恐怖に押しつぶされながら日々を送るわけです。

精神的におかしくなるのも当然。冷静でいられるのは相当なタフな精神を持たないと無理でしょう。

ウィンターウォー

敵は半端ない寒さ

今がちょうど冬ということもあり、そのつらさがひしひしと伝わってきます。脚が先が寒さを超えて痛さとなり、手先もかじかみすぎて、まともに引き金をひけない。

火を起こすことなど到底無理。なので穴を掘って数名で肩を寄せあい暖を取る。

珈琲はジッポライターでカップを直接温めるといった具合。

肉体的にも精神的にも相当ダメージが多かったはず。

にもかかわらず敵からの攻撃があれば、即座に戦闘モードに切り替わる。生死がかかっていると、こうも人間は動けるものだなと感じた次第です。

アルザス地方の悲劇

フランス人なのにドイツ軍として徴兵された人も数多くいたようで、中でもドイツに隣接しているアルザス地方では多かったのではと思います。作品中にもフランス人なのにドイツ軍として戦う若者がおり、彼らのことをマルグレ=ヌーと呼ばれ、当初は裏切り者と呼ばれていましたが、2010年には見直され、むしろ戦争被害者として彼らの功績を認められることとなったようです。

それにしても同じ街の中の人間が敵味方に別れて戦うというのは本当かわいそうだなと感じた次第です。