イブサンローランは馴染みがうすい
海外ブランド品に疎いので、名前だけは耳にしたことのあるイヴ・サンローラン。この作品でブランド名が人の名前、しかも男性だと言うことを初めて知りました。
2008年に他界されたイヴ・サンローランの半生を描いた本作品。早くから天才と呼ばれ、数々の名声を手にした華やかな一面がある一方、孤独、不安、悲しみなど苦悩に満ちた人生でもありました。
いきなり有名なデザイナーの会社に就職
イヴ・サンローランは早くからその才能を認められ、今なお高級ブランドとして確固たる地位を築いているディオールに入社。
ディオールも後継者と言ったか言わなかったは定かではありませんが、、ほぼチーフ格のデザイナーということを考えるとかなり期待されていたのでしょう。
今ではパリコレなどで、モデルさんが闊歩し、多くの関係者が集い華やかな印象のファッションショーですが、イヴ・サンローランが入社時した頃のは、こじんまりとした会議室の中で、ステージもなく招待客の中をモデルが闊歩するという、それはそれは地味な感じのファッションショーでした。
バックヤードでは、ヘアメイク、スタイリスト、モデルさんが入り乱れ、イヴ・サンローランも一緒に裏方の一人として働いていました。
ショーの最後にはモデルと一緒に招待客の前に立ち、お礼の挨拶。もの凄い内気な人だけに言葉少なげにすぐにバックヤードへ
そんな微笑ましい好青年だったのに、その後の彼はと言えば・・・
ディオールから独立するも雌伏の時代へ
将来ディオールを背負って立つと思われていましたが、ある事件をきっかけに契約解除となり、人生のどん底に突き落とされてしまいます。
が、彼の生涯の伴侶とも言えるパートーナーの助けもあり、独立に成功。
ここにブランドイヴ・サンローランが誕生することになりました。
が、喜ぶのも束の間、新作コレクションを開いても、さすがイヴ・サンローランという声がある一方、新鮮さがないなど酷評の声もあり、雌伏の時が2年近く続きました。
会社を設立して間もないのに、デザイナーがスランプと来れば早々と会社をたたむだろうに、イヴ・サンローランを信じて待つというパートーナーの強い信念に胸を打たれました。
起死回生のモンドリアン
ようやく天才イヴ・サンローランが覚醒。2年近い雌伏の時を経て、発表したモンドリアンが大ヒット。当時は世界で最もコピーされたファッションと言う位ですから、全世界で流行したのでしょう。
アメリカのとある有名な会社とも契約を結び、会社躍進に大きく貢献しました。
このモンドリアンのヒットをきっかけに次々とヒットを飛ばし、その名は全世界に知れ渡るほどに。
一方でクリエーターならではの苦悩、不安、孤独などに押しつぶされる日々を過ごし、クスリにも手を出し心身共にボロボロとなっていくのです。
献身的なパートナー
イヴ・サンローランを設立前から支えていたパートーナーがおり、彼の回顧録として話が展開されます。同性愛者だったイヴ・サンローラン。
恋人であり、ビジネスのパートナーという難しい立場にありながら、長年連れ添い支え続けた彼は本当に素晴らしいの一言につきます。
ファッションを芸術に昇華
作品の中でファッションは芸術とは呼べない的なことをイヴ・サンローランが口にします。
が、彼の死後、彼の手がけた作品が美術館に展示されていることを考えると、彼のファッションは芸術に昇華したと言えます。
女性ファッションに革命をもたらしたとも言われ、彼のファッションの歴史における功績は大きかったのではないでしょうか。