焼夷弾の恐怖と隣合わせ
戦時下の一般市民の暮らしぶりを垣間見ることができる本作品
窓ガラスにはテープを貼って飛散をさける、夜は電気に傘をかけて光が漏れないように、空襲のサイレンが鳴れば真夜中の爆睡中であろうと防空壕に避難。
そんな危なかっしい環境だから、子供は田舎へ疎開し、東京で子供を見るのは珍しいかったそうです。
またあまりにも激しい空襲を避け、家族でしばらくの間疎開する人もおり、大変苦労している様子が垣間見えました。
切実な食料問題
食料も基本的には配給でかなり我慢を強いられていた様子。
そこに空襲で被害を受けた姉が頼りに来た時の様子がこれまた切実すぎて・・・
母は姉に対し、面倒は見れないときっぱり。お金を積まれても首を縦に振らない。
とは言っても娘に説得されて同居をよしとしますが、黙ってお豆を食べた時は、実の姉に「この盗人、恥を知れ」的な罵声を浴びせるなど、人間追い詰められると自分でもビックリするくらいの暴言をはくものなんだなと。
意外に田舎の方が裕福?
食べることに困り、着物などと食料を交換する場面が描かれていました。お米やお肉お野菜などなど。逆に配給では手に入らないような貴重なものが手に入る。
恐らくこれを仲介する人もいたんでしょうね。郊外でたんまりと農作物を仕入れ、都内の裕福な家庭に売リ込む。闇ルートというのはこうして形勢されたのでしょう。
言葉遣いがきれいすぎ
主人公の二階堂ふみは比較的裕福な家庭に生まれたのでしょうか、言葉遣いが品がある。「うれしいわ」とか「どうなさったの」、「甘えるつもりはないわ」、今ではまず耳にしない言葉に当時のいいとこの家庭ではまだ言葉の乱れはなかったのだなと感じました。
えっ、工藤夕貴だったん
作品の終わりにキャストを見ていてビックリ。二階堂ふみの母役がなんと、あの工藤夕貴。おゆをかける少女、もといハリウッド女優のあのお方だったとは。
娘を思う母、戦時下でたくましく生きる母、実の姉を激しくののしる母、どれも際立った存在感がありました。
ちなみに姉役は富田靖子。
これまた嫌味なオネェちゃんっぷりでいい味出していましたね。
男女の禁断の愛だけれども・・・
主題に妻子ある男性を愛してしまう純愛映画だったと思います。恋愛している場合じゃない。生きることで精一杯。頭ではわかっていても、人間の本能には勝てないといったところでしょうか。
が、僕としてはそっちよりも戦時下の暮らしっぷりの方が発見に満ちていて楽しく拝見することができました。