話題の作品だったので
本作品もアメトークの読書芸人が推薦していた作品。教団X、コンビニ人間に続いてこれで3作品目。森の眠る魚もご多分に漏れず、面白いと呼べる作品でした。
内容は、幼稚園に通う子供を持つママ友のお話。最初は一緒に食事をしたり、お出かけしたり、子供のことを相談し合ったりと、とてつもなく仲の良い間柄であったのに、次第にお互いを忌み嫌う、避けるようになり、最終的にはグループ崩壊という、何とも残念なお話でした。
きっかけは子育ての方針が一緒
小学校受験幼稚園ではないけれどそこそこ経済的に余裕のある幼稚園で、そこで彼女たちは出会います。
小学校受験を否定し、伸び伸び子育てという考えが互いを結びつけたと言ってもいいでしょう。
なのに、心のどこかでは受験を肯定的に捉えているところもあり、それを公言することさえ、憚れるという空気が漂い始めます。
それがグループ崩壊のきっかけになります。
グループ崩壊がドロドロ
ママ友に限らず学校であったり、職場であっても、グループというのは存在しますし、未来永劫続くわけでもありません。
家族のように毎日一緒に時を過ごしていたのに、今となっては年賀状のやりとり位。もっとひどい状態になると連絡が付かないなんてことも。
この崩壊パターンも竹を割ったようにケンカ別れならしこりも少ないのですが、小さなキズから亀裂が入り、それが徐々に拡大して修復不能な位に断裂。
しこりのように心のどこかに残るような感じがして、後味も悪い。
この5人のママ友グループ崩壊がまさにこんな感じ。読了後も、モヤモヤとしたものが残ります。
思い込みで自滅?
この仲良しグループの最初の傷は心変わり。あんなに、お受験に否定的だったのに、あるママがお受験を考えていると口にしてから、お互いに不信感が芽生えます。
あるママは、彼女のことを抜け駆け野郎と思い始めたり、あるママはやっぱり私達と同類のままではいたくないのでは?ではと悪い意味に捉え始めます。
ただ当の本人は、お受験なんてする気は一切なく、その場の勢いで言ったまで。
なのに、周りが変に捉えるものだから、次第に本人もお受験を意識するようになり、結局、お受験否定で結ばれていたグループは崩壊していくわけです。
子を持つママの心情ってこんなん?
他人と比較して、他人の不幸を願ったり。かと言ってそんな自分を嫌悪して反省してみたり。
そんな事ばかりを毎日のようにグルグルと考えては落ち込んでみたり。
世間一般では家事や育児に忙しく大変だけれど毎日が充実している主婦と思われがちですが、一方では、おつきあいという名の気苦労も多い職業なんだなとあらためて実感しました。