毛色の異なる歴史小説
吉川英治にはじまり、司馬遼太郎、山岡荘八、宮城谷昌光などなど、歴史小説の人気作家の作品は一通り読んできました、この村上海賊の娘の作者、和田竜さんの作品は初めて
先に挙げた作家は、その時代に合わせた言葉のやりとりが中心。
御意、○○候、しかるに・・・など。
で、この和田竜さんの作品は、会話がほぼほぼ現代語っぽく、物凄く読みやすい。
場面、場面の情景も浮かびやすい。
ということもあり、全4巻を僕の中では最短の約1ヶ月で読破しまいました。
ということもあり、しばらくは和田竜さんにはまりそう。早速のぼうの城をダウンロードしました。
局所的な戦にスポットが斬新
今まで読んできた作品は、天下統一、中国統一といったかなり大きな話ばかり。
ひとつひとつの戦いも細かく描写されていません。ましてや大将にスポットを当てた作品ばかりで戦場の生々しい斬った、斬られたという話もありません。
村上海賊の娘で取り上げられている木津川合戦は信長の天下獲りの過程に出てくる主要な戦でもなく、言わばマイナーな戦。
なのに和田竜さんが描くと登場人物が個性的すぎるので、話が面白い。現場レベルの細かい戦術やら駆け引きにグイグイと引き込まれていきました。
戦国時代という特殊な時代
戦国時代という乱世ということもあってか、登場人物がかなり自由奔放。村上海賊と相対する泉州海賊は織田信長方で、孫請けみたいなものでしょう。
なのに、信長とはほぼ対等な感じで話をしているし、信長の形勢が怪しくなればいつでも他家に鞍替えというのが当たり前のように行われていました。
村上海賊も一緒。毛利家から戦に参加してくれと頭を下げる立場。
なので、まだまだ下克上を起こしてやる空気は、信長の天下統一直前まで残っていた感じがします。
村上海賊って何もの?
瀬戸内海を中心に活動していた海賊で、自分たちの海域を通る船に通行料を支払わせて生計を立てていました。
お金を支払えば、とやかく言われませんが、無視して通り過ぎようものなら、ボッコボコ。
相手が悪ければ命さえも奪われてしまいます。
秀吉の天下になってからは、このような働きはアウトとなり、海賊業から足を洗うことになるのですが。
とにかく当時の海賊は、大名クラスから頭を下げられ、ウチと手を組まないかと言われるほどですから、海戦となれば大きな戦力になっていたことは容易に想像がつきます。
のめり込むこと間違いなし。
とにかく歴史小説が大好きな人には是非読んでもらいたい一冊です。
こんな描き方もあるだなと関心させられること間違い無しです。