後継者争いはいつの時代も一緒
いつの時代も、世界のどの国でも同じようなことが繰り返される後継者争い。
それまで仲間だと思っていた同僚が一変して、自分を攻撃する敵となったり、派閥が形成されて息苦しくなったり、時に殺し合いが起きたり。
とにかく陰鬱な感じがする後継者争いを明るくコミカルに描いたのが本作品。
これにより個々の人となりが見え、人間味溢れる争いごとにスケールダウンして、かえってわかりやすかったです。
秘密警察と軍部との主導権争いもこれまた熾烈
後継者争いも秘密警察を牛耳るベリヤとその後のソ連の歴史に名を残すフルシチョフの一騎打ちといった感じ。
ベリヤは巧みに仲間探しに奔走し、スターリンの子供達との距離も急速に縮め、とにかく機を見るに敏といった感じ。
先を越されたフルシチョフは、手出しでつまづきベリヤの後追いといった感じで苦しい立場に追いやられます。
鬼軍曹、ジューコフ元帥
後継者争いでベリヤが優位が確実視される中で、この状況を一変させたのが鬼軍曹、ジューコフ元帥。
第二次世界大戦中のドイツとを撃破するなど輝かしい実績を残した彼
とにかく細かいことは大きっらい。スターリンの息子であろうと容赦しない。
俺が弔辞を読むと賓客の前で暴れまくるスターリンの息子。フルシチョフ達がなだめるのに一苦労している中、ツカツカと息子に近づき、ボディブローを食らわして黙らせちゃう
その後、おとなしくなってしまった息子。とにかくカリスマ将軍だけ誰もが認めるカリスマ性があったのです。
そこに目をつけたのがフルシチョフ。
ベリヤ率いる秘密警察に対抗できるのはジューコフ元帥しかいないと踏み、軍部を巻き込み、押され気味だった形勢を持ち返し、そしてベリヤを失脚まで追い込むことができたのです。
これも全て鬼軍曹のジューコフ元帥のおかげと言ってもいいでしょう。
世襲制にならなくて良かったね。
スターリング死後も、息子、娘の機嫌取りに奔走する様子を見るにつけ、ある程度の力を持っていたことがわかります。
とは言え、スターリングの後継者に彼らを推すことは全くなくスターリン時代から集団指導体制をうたっていたことは良かったのかなと。
とは言え、実際にはスターリンに権力が集中していましたが・・・・
もし国の最高権力者は世襲制という決まりであったら、感情をコントロールせず親の遺体の前で銃を乱発したり、意味不明な弔辞を読むようなバカ息子になっていたんでしょうね。
そう考えると集団指導体制を決めたスターリンの功績を大きいかなと思った次第です。