作家がここまで持て囃されるとは
芸人の又吉さんが愛してやまない太宰治。彼をここまで惹きつける魅力とは一体なに?
そんな動機から、本作品を見てみましたが、良い言い方をすれば、かなり破天荒。作家さんと言えば、ちょっとお硬いイメージがありますが、それと真逆。
ヒット作品を次々と飛ばし、斜陽は飛ぶように売れる。単行本化されるのは今か今かと待ち望む光景は今見るとかなり新鮮。
当然、ベストセラー作家ということだけあって当時は注目の存在。
娯楽が少なかった時代は、こうも作家が持て囃されていたのかと驚きました。
芥川賞作家の羽田さん、又吉さんも生まれた時代が異なれば、今よりもっとフィーチャーされていたことでしょう。
貫禄勝ち。正妻、宮沢えり
過去の偉人の生涯を扱う作品は数あれど、単なる追想ではつまらない。てなわけで太宰治の奔放な女性交友を軸にストーリーが展開されます。
3人の女性全てが全く異なるキャラクター。正妻の宮沢えりと愛人の沢尻エリカ、二階堂ふみ。
正妻宮沢えりは、浮気しまくりの太宰治を攻めるわけでもなく、常に作家、太宰治を影で支える良き妻を演じています。
太宰治が一度も褒められたことがないとボヤくほど、厳しく太宰に向き合い、創作意欲を常に刺激する存在。
が、夫の前では毅然とした態度であっても、時には押しつぶされそうな苦悩を吐露する場面も。もう耐えきれないというセリフには泣けてきました。ほんとに。
この時代にあってかなり進歩的。沢尻エリカ
続いては、ベストセラー斜陽のモデルともなった元お金持ちのバツイチ女、沢尻エリカ。
この時代にあって考え方が先進的。愛人というポジションを素直に受け入れ、作家としての夢を実現させたいというかなり意識高めの女性。
太宰との間に生まれた子供も、ゆくゆくは作家にさせようと思ったのでしょう。
最後に金の無心をするところに、ズルさを感じましたけどね。結局それが目的と興ざめしてちゃいました。
痛すぎる。狂気的な愛の亡者。二階堂ふみ
最後の女性が二階堂ふみ演じる富栄。あるパーティで酒の勢いでちょっかいだしては見たものの、これが大やけどしてしまうという顛末。
太宰治がおかしくなってしまったのも彼女との出会いが大きく影響しているように見えました。
事あるごとに自殺をほのめかす言動を繰り返されてしまうと、太宰治としてもただただ思いとどまらせるしかなかったのでしょう。
人間失格が生まれる過程にゾワッっと
そんな自分の境遇を作品したのが人間失格。といった感じがしました。
確かに主人公も、とんでもないプレイボーイだった記憶が。
これといった目標もなく、職につかず女遊びを繰り返す主人公に、自分も投影させ、これじゃあかんよと思ったいたのかも。
そう考えると、また違った面白さが発見できるかもしれませんね。人間失格を読むと。