半生パンがバカ売れ。フジパン
不便によって得られる益という商品が、このコロナ禍で注目されているようです。
例えばフジパンから販売されているマイクラフトベーカリーという商品。見た目が真っ白なクロワッサンで明らかに調理途中と思わせるイデタチ。
で、自宅のトースターを扱い、最後の工程、焼きを入れることで初めて商品として成立するというもの。
時短、効率化が叫ばれる中で、逆を行く商品コンセプトながら、これがバカ売れ。今ではクロワッサンに加え、商品ラインナップも充実させているようです。
食材提供デリバリーも好調
食材のみを提供し、後は提供されたレシピに合わせて調理というサービスも、フジパンのマイクラフトベーカリーと通じるものがあります。
このサービスの先駆者とも言えるオイシックス。この道10年の大ベテランも地道に事業を進めていく中、コロナ禍の巣ごもり需要なども相まってやっと注目される存在に。
この商売はお金になると機を見るに敏な企業が続々と参入しているとか。
独ハローフレッシュもそんな企業の一つ。本国では30-50分の調理できる食材を用意していたものの、日本ではちょいと長いという意見もあり、時間を25分以内に短縮。
不便によって得られる益と言っても、あまりに長すぎると逆にマイナスにもなるようで、不便のさじ加減も重要のようです。
10年間鳴かず飛ばずの商品がまさかのヒット。ドライフードメーカー
コロナ禍の巣ごもりで、自宅で過ごす時間が長くなったこともあり、惜しみなく手間をかけることに達成感を感じる人が増えたのか、完成品が仕上がるまでに6-8時間もかかるドライフードメーカーが注目されているようです。
中の人いわく、10年間ほそぼそと販売してきた商品がコロナ禍で出荷量が1.5倍に跳ね上がりました。
自分の好きな食材をドライフード化できるという、自分らしさを満たすという価値を提供したことがヒットの要因だと思います。
不便マーケティングを商売に応用
この不便マーケティング、今注目の集まるソロキャンプにも通じるものがあり、考えてみたらプラモデルもその類と見ることができます。
フジパンのマインクラフトの購入者の声を拾うと、「自分で作った感があって楽しい」とか「娘が喜んでいる」など、達成感的なものを感じているようで、従来の商品にはない価値が提供されているいます。
世の中が便利で、効率化していくのもいいけど、手間がかからなくなる分、やったった感が薄れていくことは確か。
クルマで言えば、マニュアルは自分で操っている感がもの凄く楽しいし、日常にはない興奮を得られます。逆にオートマは操られている感があり、達成感は低いものの、これはこれで快適という価値を提供してくれます。
詰まる所、不便のさじ加減が肝なマーケティングだなと思った次第です。