GMの本気度が伺える。外注戦略
EV界隈が騒がしい昨今、GMの取り組みにEVシフトへの本気度が伺えました。
2035年までにガソリン車をの販売をやめEVやFCVに本格的にシフトするというもので、その過程の中で、ガソリンエンジンの減産を外部から調達して調整するというもの。
エンジンと言えば、完成車メーカーにとっては肝となる部分。ポルシェのBOXER、BMWのシルキー6などなど、ブランドを象徴するようなもの。
GMエンジンと言えばと言われても、これと言った答えは出ませんが、この割り切り方は、EV開発を急ぐ他の完成車メーカーにとって参考になるでしょう。
自前主義の終焉。必要なパーツは外部から調達
実際にいすず自動車も2021年中にディーゼルエンジンを米国の大手エンジン会社から調達する動きを見せています。
このようにGMやいすず自動車の動きを見るに、完成車メーカーが長年こだわってきた自前主義との決別を意味します。
これまではグループの部品会社から調達してきたものが外部のサプライヤーも含めて調達。EV開発ともなると、その傾向がより強くなると思われます。
EVの心臓部をモジュール化でヒット。日本電産
日本電産のEV用駆動モーターシステム、イーアクスル。モーターにギアなどを組み合わせたシステムで、こちらをモジュール化した製品。
ガソリン車であれば、エンジンとギアボックスをセットにしたようなもので完成車メーカーのこだわりが強い部分。
ガソリン車では外部の部品メーカーが、そう簡単に参入できない部分でしたが、EVともなれば参入のハードルがグンと下がる。
日本電産では既に複数の自動車メーカーからオファーを受けているようで、2020年末時点で、累計販売台数が10万台を突破したとか。
TDK、村田製作所も今後存在感を高めるかも
現在のガソリン車でもクルマの電子化は強まっていますが、EVともなればさらにその傾向は強まり、積層セラミックコンデンサーなど電子回路に欠かせない部品の需要拡大も期待されています。
これらの部品を手掛けるTDKや村田製作所も生産設備の増強なども前倒しで検討しているとか。
ガソリン車に比べ、部品点数は2-3倍に達するというのですから、ここを抑えることができれば、存在感を高められるでしょう。
懸念されていた水平分業が現実に?
数十年前からEV、燃料電池車などの次世代カーになると、これまでの産業構造が一変し、垂直統合から水平分業にシフトするのではと騒がれていました。
自動車はシビアな製品なので、部品メーカーと完成車メーカーの摺合せがとても重要。ので、水平分業は自動車業界では成立しないと言われていましたが、今の状況を見るに、その方向に近づきつつある印象を受けます。
垂直統合から水平分業に以降した電機メーカーを例にすると、存在感が強めるのが部品メーカーとサービスを提供する企業。組み立て工程を担うメーカの立場は弱くなる傾向に。(これをスマイルカーブ現象と言うそうです)
日本の基幹産業でもある自動車業界が、半導体、電機製品などと同じ道を歩まないよう、頑張って欲しいものです。
そう考えると、トヨタがクルマづくりから、都市開発やクルマのサブスクなどなど事業領域を広げている意味が何となくわかる気がしました。
10年後も、今のように世界で輝きを保ち続けて欲しいと思った次第です。