ダブルスコップとは
今、リチウムイオン電池業界で存在感を高めているのが「ダブル・スコープ」という会社。
電池本体ではなく、セパレーターという構成部品を製造する会社で、ある意味、リチウムイオン電池の要となる部品なのです。
このセパレーター製造では日本の旭化成が世界シェアNO.1。次いで東燃ゼネラル。ダブル・スコープは、2015年時点で8位ながらも、この先シェアを伸ばしていくのは確実と言われています。
創業10年で垂直成長っぷりを遂げ、今後目が離せない企業です。
社長はあのサムスン
猛烈社員で知られるサムスン。昼夜関係なく日本で言えば完全なるブラック企業ですが、そこで鍛えられてたのですから、並の社長ではありません。
しかもサムスンの中核事業の液晶部門で働いており、技術にもかなり精通しているお方。
中でも偏光板フィルムは利益率が高いと言われ、その将来性の高さを早くから予見し、起業にいたった訳です。
韓国では相手にされないので・・・
元サムスン出身ながらも、起業してからは苦戦続き。韓国の銀行やらベンチャーキャピタルに声をかけるも、どこもお金を貸してくれない。そもそも高いシェアを誇る企業が業界を席巻し、しかも技術のハードルも高い。のに、新興企業が戦えるはずがないと思われたのでしょう。
が、こんな試練に折れないのがサムスン戦士。ならばということで、出資先を日本に求めることにしたのです。
この発想の転換、諦めないハートは学ぶべき点が多々あります。
出資先を募るが目的ではない
日本にわたり、早速出資してくれる銀行探しに奔走し、三菱UFJキャピタルから1億円を引き出すことに成功します。
事の詳細はわかりませんが、自信満々に事業の将来性と完璧なる事業計画書が、数多くの企業に出資してきたプロの目にも、これは行けると思わせたのでしょう。
プロを納得させる力、技術者でありながら営業力も半端ない、これもサムスン戦士ならではの強みだと思います。
ただ、この社長、出資先を探すためだけに日本に来たわけではありません。
他にも、日本企業から技術的なヒントを得ること、そして工場立地を安く済ませるという狙いもあったのです。
技術的ヒントは、当時、日本の電池産業は世界トップクラス。将来的に部品供給するであろうお客が何を望んでいるのか、交渉をする中で、色々と見えてくる。それを製品開発にフィードバックすれば他よりも先んじて、有利に事を進めることができます。
工場立地に関しては、韓国の場合、外資系企業が工場を立てる場合、税金の優遇をしてくれます。工場用地の借地費用を50年間免除や法人税の大幅減免を受けられるので、設備投資のコストも抑えられるわけです。
EV全盛でダブル・スコープの時代到来
優れた技術力を武器に低コストでセパレーターを供給することに成功したダブル・スコープ。
次なるターゲットはEV。自動車業界、特に欧州では、今後EVに力を入れていくメーカーがゴロゴロ。
当然、EVの核となるリチウムイオン電池のコストダウンは喫緊の課題。
品質とコストで圧倒的に有利なダブル・スコープの存在感が高まることは容易に想像がつきます。
近い将来、セパレーター業界では世界シェアNO.1を獲るのもそう遠くないかもしれません。
液晶テレビでサムスンが世界シェアNO.1を獲った時のように・・・