始まりは、レディガガー演じるパトリツィアの登場
本作を興味を持ったのが、ある一人の女性の存在で、歴史あるブランドが崩壊をしていく様子が描かれているという点。
実際には、ちょっと違いましたが、とにかくレディガガ演じるパトリツィアが少なからず影響を与えたことは確か。
お金目当てで近づく女性に警戒していたにも関わらず、グッチの次期社長を手玉に取り見事玉の輿に成功。
後にお父様が危惧していたことが現実のものになるとは、結婚当時はつゆにも思わなかったでしょう。
これも彼女が描いた計画通り?
親から勘当されたグッチの御曹司ことマウリツィオですが、叔父が手を差し伸べてくれたことで、グッチ一族に返り咲くことに成功。
本人はグッチとは関わりを持たずに生きていくと決めていたのに、このチャンスを逃すまいと必至になる嫁さんには抗うことはできませんでした。
こうして、パトリツィアのグッチ帝国の女王になるという野望はまた一歩現実のものとなっていくのでしょう。
思い描いた未来が現実化していく。彼女もさぞ興奮したことでしょう。
とは言え、長くは続きませんでしたけど。
マウリツィオの変心。素朴で素直な青年が・・・
人の性格は、その置かれているポジションで変容していくというのは、まさにこのことで、あれほどグッチの経営に後ろ向きだったアダム・ドライバー演じるマウリツィオが、嫁さんの提案をことごく却下し、自分の意思で経営の舵を取りに行きます。
夫婦仲もこの頃から、冷め冷め状態。経営に口を出す嫁さんが、うっとおしくなり、別居状態となっていました。
企業経営とはかくもシビアな世界
手を差し伸べ今の地位を与えてくれた叔父を脱税容疑で刑務所にぶちこみ、息子を騙して、持ち株を全て手放させ、ティファニーを立て直した企業に売却。
グッチブランドを我が物にしようと、ファミリーをも欺く行為にバチが当たったのか、それとも慢心からなのか、その後のグッチは毎年大赤字を垂れ流す企業ヘと衰退の一途を辿ることになってしまったのです。
そして一族は一掃された。悲しいぃ~
このような経営状態で共同出資の企業から三行半を突きつけられ、マウリツィオのゴッチ帝国は終焉を迎えます。
持ち株全てを共同出資会社に売却。これにより創業以来のファミリー全てはゴッチから一人もいなくなることになりました。
同業者経営は国内でも多数存在しますが、経営が著しく厳しくなると、このような厳しい運命が待っているということをつくづく感じました。
グッチはまだ一族以外の人間を経営に参画させていたからでしょう。全ての株が掌握していたら、今頃グッチというブランドが存在していなかったと思います。
色々な勉強になりましたが、この崩壊劇は、レディガガ演じるパトリツィアだけが原因ではなく、彼女が存在していなかったとて、遅かれ早かれ同じような末路を辿っていたのではないかと思いました。