高校チームがプロチームに挑戦状をたたきつけるってマジか
実話に基づく本作品。時は1960年代頃。ル・マン24時間耐久レースを舞台に絶対王者フェラーリにレース経験もないフォードが参戦し、見事勝利を手にするというもの。
ある意味、プロ野球チームに高校野球チームが挑むほど、両者の実力には大きな大きな差がありました。
売られた喧嘩はこうてやる。フォード
T型フォードでモータリゼージョンに革命を起こしたフォード。その孫に当たるフォード二世は、倒産寸前のフェラーリに買収を提案するも、きっぱりと断られ、しかもフェラーリ社長からは辛辣なコメントを受けます。
この挑発とも取れる言動に、ある意味乗っかる形でフォードはル・マン24時間耐久レースへの参戦を決めます。
まさにアメリカン・ドリーム。町工場のおっさんが・・・
資金力豊富なフォードは、ほぼ社長直轄のル・マンチームを結成。車両開発にはル・マン優勝ドライバーのキャロル・シェルビーを招きます。
彼をボスにしたル・マンチームがここに結成されることになり、マシン開発からドライバーなどの人選も彼に委ねられることになったのです。
で、彼が選んだのが旧知の間柄でもあるケン・マイルズ。モンスターマシンを操るといなると、かなりのドライビングスキルが必要。加えてメカニズムにも精通している。
というのも、このお方、町工場のオーナーでお仕事はクルマの整備。日頃から数多くのクルマを見ているその確かな目は車両開発に必ずや生きるだろうと踏んだわけです。
組織人としての苦悩。
こうして彼の誘いを受けたケン・マイルズは、フォードのモンスターマシンフォードGT40の開発兼ドライバーを承諾。
一度はフォード上層部よりケン・マイルズのドライバーはペケされるも社長に直訴して、全権を掌握することに成功。
一度はチームを去ったケン・マイルズを説得して、何とかチームに復帰させることに成功しました。
この後も彼は上層部の横ヤリに悩まされ続けます。それもレース当日にあーしろ、こーしろと現場を全くわかっていない人間に口出しされるのは苦痛そのもの。
華やかなレーシングチームのトップと言っても、やはり組織人として苦悩が絶えないんだなとしみじみと思いました。
迫力のレースシーンに没入
車両開発中にクルマが大事故を起こしたり、上層部から横ヤリなど色々と問題はったものの無事、ル・マン24時間レース当日を迎えることになりました。
レースは終始、絶対王者フェラーリがリードし、フォードはと言えば周回遅れ。
が、そこはル・マン優勝ドライバーのお眼鏡に適うケン・マイルズ。レース中盤で周回遅れを取り戻し、フェラーリを抜きトップに躍り出ます。
路面からの迫力のシーン。ドライバー目線のスピード感ある画。同じコースをただただグルグル周わるだけなのに、飽きせない工夫を随所に感じましたし、モータースポーツってこんなエキサイティングなものなのかと気付かされました。
クルマが輝いてた時代
こうしてフォードは、フェラーリの途中リタイアなどもあり当初の目的であったフェラーリに勝つを成し遂げ、その後4連覇という偉業を達成します。
レース会場には大勢のお客さんが集まり、ラジオではその様子が流れ、衛星放送ではレースが流れる。
モータースポーツが人々を熱狂に渦に巻き込んでいた古き良き時代を感じまました。
今ではコモディティと揶揄され、自動運転が目に行きがちになりつつある昨今ですが、この作品を見て、あらためてクルマを操る愉しさを思い出しました。