優秀なクリエイティブマン
会社の業績を左右するほどの優秀なクリエティブディレクター。大手クライアントの大半の仕事をこなし、彼に仕事を任せたいというクライアントばかり。1人のずば抜けた天才に会社の命運が託されていると言ってもいいほど。
けど、あまりにも1人の人材に偏るすぎるのも会社としてはリスクが大きいもの。
最高益を獲得し、全社スタッフが喜びに溢れかえっていたのが嘘だったかのように、その3年後には会社が身売りされるとは、誰も予想できなかったでしょう。
子供の死が彼を豹変させることに
会社の身売りが囁かれることになったのは、優秀なクリエイティブマンが全く仕事をできなくなってしまったから。毎日会社に出社するものの、他のスタッフとのコミュニケーションを取るわけでもなく、自分の殻に飛び込み、ひたすらドミノを並べている始末。
エネルギッシュな彼はどこに言ってしまったのかというほど様変わりよう。
というのも、愛娘も病気で失ったことが大きく影響していたのです。
周りも彼の気持ちを推し量って、しばらくは彼のドミノの見過ごしていたものの、それが3年近くも経ち、かつ身売りの危機とあってはもう放置できない。
彼を立ち直らせて、身売りを回避すべく3人のスタッフが立ち上がったのでした。
どっきりかよ。
彼らが考えたのは、彼が精神障害であることを気づかせるというもので、かなり手の込んだもの。
彼がよく口にしていたフレーズ時間、愛、死という抽象的な概念。それらに彼は手紙を送っていたという意味不明な行為を行っていました。
この時点で精神的にかなり来ていたのですが、本人に全く気づいた素振りはなし。
なわけで、手紙を送った先の時間、愛、死が実際に彼の目の前にあらわれて、アドバイス。その姿は彼にしか見ることができず、その様子を撮影して、彼に見せることで、精神的に来ていることを、動画を見せて気づいてもらうというもの。
時間、愛、死を擬人化して見せるというのも斬新ながら、それで彼が、それを見て信じるだろうと思う所もこれまた凄い。
愛と死と時間という重いテーマ
この作品を最後まで見ると家族愛という深いテーマが、根底にあることを気付かされます。
どっきりを仕掛けた彼らも、この作戦を通して、自身の家族について深く愛や死、時間について見つめ直している感じがしますし、避けては通れないながらも、着地点を探す大変さが随所に感じられます。
最後に主役が立ち直った姿を見てぐっと来てしまいました。