企業買収の仕組みの勉強にもなる「ロスジェネの逆襲」

ロスジェネの逆襲書籍レビュー

半沢直樹シリーズ第三作目

シリーズ1作目から連続して読んでいる半沢直樹シリーズ。今回の舞台は出向先の証券会社。そうですね、元々は銀行マンだった半沢直樹が、子会社の証券会社の部長という設定で登場します。

ネタバレになりますが、反しの大まかな流れはこんな感じ。

企業買収のサポート役として選ばれた半沢直樹の証券会社。が、何故か契約途中の段階で他社にその座を奪われ万事休す。

のっけから高いハードルを背負わされ、どうする半沢直樹?というところからスタートします。

子会社と親会社の力関係

で、奪った会社は何と親会社の証券部門。同じ会社なのに仕事を横取りされ半沢直樹は猛激怒。復讐の鬼となります。

そもそも世間一般では親会社と子会社の力は圧倒的に親会社の方が強い。親会社の意向に沿うのは当たり前。

ネコ

が、そんな常識は半沢直樹には当てはまりません。

道義的に許せないとばかりに親会社の手柄をぶっ潰しにかかります。しかも正当な手順を踏んでです。

親会社の専務に呼ばれて、あなたのしていることは会社の利益に反する行動だよと注意を受ければ、そもそも断りもなく子会社の仕事を影で奪い取る、それこそ会社利益に反するのでは?とバッサリ

サラリーマンじゃなかなか言えない決めゼリフに胸のすく思いがしました。

企業買収はそれはそれで色々とルールがあるみたい

ライブドアのニッポン放送でにわかに企業買収という話が盛り上がりましたが、あの話をより当事者目線で語られているので非常に勉強になります。

企業買収する側は、今の事業では先行きが不安。なので、新たな事業のネタを促成栽培すべく買収をするのだと。

で、買われちゃう企業はと言えば、自分たちの知らない所で時間外取引で株が買われハタフタ。対抗策として、株を大量に発行して、買収先の持ち株比率を下げるか画策します。

で、この作品では、ウチも買ったるわという対抗馬、つまりホワイトナイトが現われて買収される会社もこれで、この難局をしのげると思ったのです。

ビジネス

が、そこは池井戸潤先生の作品。何と企業買収する会社と裏でつながっていたというんです。

まぁ、よく考えられた策略です。どっちに転んでも企業買収する会社は損しない仕組みなんですから。

それと株の保有率が高まると法的にその買収は無効になるということ。あんまり株を持ちすぎてもダメみたいです。

この作品で知りましたよ。

最後は神がかっていた役員会の半沢

その光景が、まさに目の前で広がっているかのごとく描写がすんばらしい。クライマックスは銀行側が企業買収する会社に追加融資をするか否かを決める役員会議。

大勢のお偉いさんのいる中、単騎で乗り込み全てをちゃぶ台返しした半沢直樹。筋が通らんことは許さんぜよと言わんばかりの猛攻撃で、それまでの鬱憤を見事に晴らしてくれます。

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この後半になると大爆発する話の引き込み力は、さすが池井戸潤先生ならではといった感じでした。

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