ヴェネチア共和国主役の第4次十字軍

十字軍書籍レビュー

俺は評価しないよ。第3次十字軍

ライオンハートことリチャード王と中東のボス、サラディンとの間で友好的な契約がかわされ、聖地イエルサレムに平和が訪れました。

彼ら二人が亡くなった後も、次の世代もこの教えを守り、更新を続け四半世紀の間、この地に大規模な戦は起きませんでした。

が、この結果に納得しなかったのが時の法王。聖地巡礼も危険を伴わずできるようになったものの、イエルサレムの所有はイスラムのまま。

これが法王としては納得が行かず、かつ第三次十字軍は教会の関与が薄かったこともあり、自分自身が旗振り役とならなければ聖地イエルサレムは奪還できないとでも思ったのでしょう。

原点回帰を狙った法王

てなわけで、第三次十字軍の反省からか、国を納める王様達に声をかけず、地方都市を納める、有力諸侯に声をかけ、第四次十字軍の編成を企画します。

法王自らの声がけにひたく感動した地方都市の諸侯達は、次々と法王の考えに賛同し、それなりの規模の兵士が集まりました。

が、ここでひとつ問題が。これまで通り陸路を経由したイエルサレムまでの道程は危険極まりない。第二次十字軍、第三次十字軍が手痛い深手を負いましたので。

ので、海路経由で、聖地イエルサレムを目指すことになったのですが、大規模の軍勢を運ぶ船が全くないことに気づきます。

そこで、白羽の矢がたったのがヴェネチア共和国だったのです。

ヴェネチア共和国にすがる十字軍

海洋都市国家としてジェノヴァやピサもあり、彼らの交易は東地中海中心ということもあり、彼らに依頼するのが手っ取り早いのですが、西地中海、北アフリカに強いヴェネチアを選択します。

国としてのまとまり感があり、大量の船の建造の発注にも答えられるのがその理由でした。

個人商店が多いジェノヴァやピサは不安だったのでしょう。

とは言え、ヴェネチア共和国としても過去に例をみない建造物の量。果たしてできるかなという所もあったでしょうが、これをなんとか実現させてしまいます。

国でまとまっているということが、いかに強いかがわかります。

聖地ではなく目指すはコンスタンティノープル

船の準備もできたし、いざ出陣という矢先にまさかのお金を支払えませんというなんとも情けないお話が浮上。

ヴェネチア共和国もお金をもらえなければ、船は出せませんと出航を拒否。

ここからがエコノミック・アニマル、ヴェネチア共和国の本領発揮。商売人というのはいかに賢い生き物というのを実感しました。

ヴェネチア共和国は、彼らはの仕事上で使うある中継都市の攻略を十字軍側に借金の減額を交渉条件として提示します。

これを快く引き受けた十字軍は、ヴェネチア共和国と共に、その中継年を攻め落とすことに成功します。

さらに、当時世界最大のコンスタンティノープルさえも攻め落とすという偉業を達成するのです。

終わって見ればヴェネチア共和国を強くしただけ

てなわけで、結局の所、聖地イエルサレムに向かうことなく、コンスタンティノープル攻略で終わってしまった第四次十字軍。

何のために集まったのか疑問ですが、ヴェネチア共和国としては国力増強という点では大きな収穫になったのでしょう。

ヴェネチア共和国だけが、ただただ得をした第四次十字軍遠征としか僕には映りませんでした・・・。

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