冷食、調味料と言えば味の素
冷凍食品、調味料、レトルト食品などなど色々な色々な面でお世話になっている味の素。日本を代表する食品メーカーというイメージがありますが、実は半導体の世界ではある材料がシェア100%とのこと。
主にパソコンなどのMPUの絶縁材に使われてるようで、その名も味の素ビルドアップフィルム(ABF)。
絶縁材って何?
絶縁材ことABFとは、MPUとマザーボードをつないで信号を伝えるための半導体パッケージ基盤に使われ、幾層にも積み上がった電子回路間に電子を精緻に流すために必須の材料とのこと。
ABFは孝行息子
食品をメインとする味の素だけに半導体向けビジネスはそれほど規模も大きくないのかと思いきや、2021年3月期の利益の内、ABFがらみが約1/4とのこと。半導体向け以外にもヘルスケア分野での使用も含まれているものの会社に対する貢献度は非常に高い。
これも昨今の半導体不足が少なからず影響しているのでしょう。とは言え、需給が落ち着いたとしても事業環境はしばらくの間、安定するのではと思います。
ABF誕生を探る
ABFの誕生は遡ること1960年代。うまみ調味料の製造は合成法によって作られていましたが、時代が変化するにつれ、さとうきびなどを使った発酵法によって製造されるようになりました。
その中間体の有効利用のためABFの開発が始まったということで、半世紀ほどの歴史ある材料とも言えます。
で、商品として世に出たのが99年。それから20年以上の歳月を得て世界100%という無双状態を気づいたのです。すごすぎる。
シェア100%に安住しない。研究開発
半導体の世界は進化のサイクルが激しく、すぐに陳腐化しちゃうというリスクもあることから、日々研究開発が行われるとか。
10種類以上の原料を配合するというのですから、その組み合わせパターンは相当な数に達し、その中から最適解を導き出すのは相当な労力でしょう。
んで、小型化、高集積化などの時代のニーズに合わせて、これだという調合法を導き出す。シェア100%でも進化の動きを止めない姿勢に好感が持てます。
時代、時代にあわせて半導体のニーズが変わるのにあわせて調合法も変化していくことに何かロマンを感じました。
食品業界が全くの畑違いの業界に参入とも見えますが、実はつながっていたということに驚きました。
うまみ調味料が半導体製造に使えるという目のつけどころは凄いなと思いました