基地局壊滅で電話がつながらない
東日本大震災の時に、電話がほとんどつながらないという事態が起きました。回線が混雑したということもありますが、他にも基地局そのものが壊れてしまったというのも原因の一つです。
このような事態を避けるためにも、大手キャリアが取り組んでいるのが、自然災害などの影響を受けにくい空に基地局を設置するというもの。
まだ実験段階ですが、これが実用化されれば、震災後の混乱も多少は和らぐのではと期待されています。
奥深い空の通信インフラ
空の通信は大きく分けると3エリアあり、地上から最も遠いエリアは宇宙に達し、一般的に静止衛星と呼ばれています。2番目に遠いエリアは低軌道衛星と呼ばれ、よくスパイ映画に出てくる衛星電話などに使われています。最後に最も地上に近いエリア、高高度疑似衛星、通称HAPSと呼ばれ、この空域に携帯電話用の空飛ぶ基地局を飛ばす計画が立てられています。
このように、ガンダムで言う所の大気圏突入までの道程は、通信エリアという面から見ると、とてつもない距離になることがわかります。
HAPSは、ごっつい電話機必要なし。
HAPSは静止衛星、低軌道衛星と異なり、専用の受信機は必要なく、今使っている携帯電話をそのまま使えるという利点があります。
衛星電話のように、ドランシーバーばりのごっつい電話を持つ必要もなく、登山家さんや全世界を飛び回るスパイの方々にとっては大変ありがたく映ることでしょう。
空飛ぶ基地局、もとい通信飛行機
空飛ぶ基地局は、衛星のような左右に太陽光発電みたいな羽をつけたような筐体ではなく、見た目は飛行機とかわりません。
無人飛行で、HAPSの空域をぐるぐると周回して電波を受信しているようです。
しかも、この機体は、電波が多く飛んでいることを察知して、その場所まで自動で飛んでくるという賢さ。
ある地域で震災が起きた際、その周辺に機体を飛ばすことで、通信障害を緩和してくれることが期待できます。
2025年の大阪万博で初お披露目?
実用化に向けて、ソフトバンク、ドコモそして海外勢のノキアなど、HAPSの実証実験が盛んに今現在行われているとか。
雨の日の対応やら、機体同士の通信を試してみたりとか、実験内容は多岐にわたり、まだまだ実用化には時間がかかる模様。
とは言え、ドコモは3年後の大阪万博には何らかの形でお披露目したいとしており、早々の実用化があるかもしれません。
とにもかくにも有事の際の通信手段確保は、自然災害が常態化した今の日本には必要不可欠な技術だなと思った次第です。