朝限定のコーヒーはわかりやすい
時間軸を加えた商品ネーミングは、その性格をよりわかりやすく伝えるに有用。
缶コーヒーのモーニングショットは、ネーミングから朝イチに飲むってことはパンチの効いた味で、まだ夢かうつつか判別しない身体に目覚めの一発を届けてくれる、そんなイメージを抱くのではないでしょうか。
けっして朝イチでもなくても、どうも身体が想い、眠気が取れないという時にはついつい手が伸びてしまうことでしょう。
このように時間軸を商品ネーミングに付け加えることは、商品が溢れる昨今にあって、僕的にありだと思います。
今回紹介するハウス食品の新レトルトカレー、やさしく夜遅カレーがまさにそれです。
コロナ禍でレトルト食品絶好調だけど・・・
2019年度のレトルトカレーの市場規模は約600億円。この数字、5年前に比べると2割り増しとのことで、今なお伸び続けています。
コロナ禍でレンチンがヒットしていることを考えると、さらに市場規模は順調に拡大していると思います。かくゆう自分も、このコロナ禍でチョイ高めのレトルトカレーを購入する機会が増え、今では100円前後のレトルトカレーでは満足できないほど贅沢な舌になってしまいました。
順調に推移しているものの、それで満足しないのがハウス食品。よーくデータを調べると20-30代女性の刺さり具合が他の世代に比べて弱いことが判明。
てなわけで、全体から見ればニッチな市場にも思えますが、ココに新商品を投入することを決めました。
とろみは小麦粉じゃないよ。野菜だよ。
女性をターゲットとなると、美容健康面への配慮が欠かせない。糖質やカロリーなどにも配慮した商品づくりが始まりました。
そもそもカレーのとろみは、小麦粉によるとのことですが、カロリー面を考えると、極力減らしていかないとならない。とは言え、しっかりと味を落とさずお腹を満たさなくてもいけない。
そこで目をつけたのが野菜。煮込ませることで、小麦粉のようなとろみ出すこと成功。さらに1日の接種目標の1/3をこの商品から取れてしまう。美容健康面にも配慮した代替え案が見事にはまったとも言えます。
残る課題はパッケージ。これかなり重要
商品はある程度の目処はついたものの、このパッケージづくりが困難の連続だったとか。
そもそもレトルトカレーは長期保存できるようにレトルト窯で加圧・加熱をして殺菌するとのことですが、やさしく夜遅カレーはカップ上に容器に蓋をしただけというもの。圧力をかけた時にカップの形が崩れるなどして、最適な温度、調整に苦労したようで、開発から約3年を要したのも、このパッケージづくりの苦労があったからでしょう。
もちろん、味は大事ですが、パッケージも非常に大事。特にレトルト食品は簡便さがウリ。準備に手間がかかるようであれば敬遠されてしまう。
やさしく夜遅カレーであれば容器ごとレンチンすればすぐに食べられる。お湯を沸かす必要もなく、そう考えるとレトルトカレーよりも簡便です。
あぐらを欠かないスタンスがすごい。ハウス食品
やさしく夜遅カレーは現在、関東の一部のコンビニとネット通販で販売されており、販売数は計画の50%増し。今後の売れ行きを見ながら、販売ルートを広げていくようです。
初動の販売動向だけを見るに、ターゲットに設定した女性に届いているかは定かではありますが、夜専用を感じさせるネーミングで手に取る消費者が多いのではないでしょうか。
ハウス食品と言えば、真っ先に想起するのはカレー。看板商品と言ってもいいでしょう。しかもロングラン商品を数多く持つ。
とは言え、そこに安住するどころか、さらに市場拡大に取り組むあたり、ハウス食品のすごいなと思いましたね。
巣ごもりで食のレパートリーが枯渇する中、この手の新商品はありがたい。しかも、わかりやすいネーミングは商品を選択する上で助かります。
昼専用、朝専用、昼過ぎのチョイ遅れのランチ用などなど、さらなる新商品を発売してと思った次第です。